特別寄稿 第三部 ”カド号千里を走る   俊水 (c)
類は車輪を二度発見することはできない…か?

と、前に書いている、このことを解き明かそう。
秘密は筋力の超回復にある。超回復、見慣れない用語で煙りにまこうとしているのではない、“超”を付けることで何でもあり、の拙 僧の論調にイライラを募らせた読者諸氏から何通ものご投書を戴いた。謹んで申しあげる、今度ばかりは本気だ、正気でものを言っている。その証拠に超回復の 出処を紹介する。
『タ−ザン誌』発行の『トレーニング用語事典』によれば、超回復とは。
「トレーニングによって筋力が上がる理由は、トレーニングによって筋肉の微小な組織の破壊とその後の修復が繰り返されるからである。負荷と戦っている間、筋繊維はミクロのレベルで破壊され続ける。
 しかしその後に充分な休養を取り、充分なタンバク質を吸収することにより、筋繊維は以前よりも大きくなって復活する。
 この期間に個人差はあるがおよそ2〜3日。そこでトレーニングをしなければ筋量は元に戻るし、さらに負荷を上げたトレーニングを行えば筋量はアップする。この、破壊から修復にいたるプロセスが超回復」
とうたっている。
 フルマラソンを走り終え、倒れ込んだランナーは破壊された筋繊維の修復のため、充分な栄養を摂取して2〜3日休養を取らないと元に戻らないという訳だ。
 筋肉と、ランニング 自転車のペダリングの関係をみてみよう。
ランナーの足の筋肉は地面を蹴り出すときに収縮してチカラを出し、ランナー本体の重量を前に押し出している、反対側の足は空中から前方に伸び、地面に踵から着地して衝撃と重量を支え姿勢を維持した後、休む間もなく次の蹴り出しのための収縮にかかる。
マラソンランナーはこの単調なしかし過酷な作業を3時間の間休まず繰り返しているのだ。
単調でしかも過酷な作業を黙々と遂行するためには、脚だけではなく全身のバランスが調和しなければならない。筋肉へ酸素を届ける強い心肺機能が必要だ、エ ネルギーと疲労物質を交換するポンプ機能は一定のリズムを刻み続けなければならないし、勝負を仕掛けた前走者の、一瞬の深い呼吸に即応してスパートをかけ る余力を、ポンプは矯て(ためて)いなければならない。
精神力においても余力を矯て(ためて)いなければならないのは勿論である。
 一方、自転車のペダリングは回転運動である。ランナーの着地の際程の衝撃はない、だから膝に障害を負ったアスリートにトレーナーはリハビリ期間中のランを禁止し自転車を勧める。
 筋肉を構成する筋繊維(筋細胞)には、大ざっぱに分けると速筋繊維(=白筋繊維)と遅筋繊維(=赤筋繊維)がある。
速筋繊維はその名の通り収縮速度が速く、瞬発的に大きな力を出すのが得意。筋トレで肥大してゆくのも、この速筋繊維だ。
内部に糖質(グリコーゲン)をたくさん貯めているのが特徴で、イザという時には酸素な
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