特別寄稿 第三部 ”カド号千里を走る   俊水 (c)
類は車輪を二度発見することはできない…か?

何度もなんどもいうが、ここは第三惑星テラ、三次元で考えるのが玄人の粋。
クリートセンターは車体中心線に対してY軸上の位置、ではX軸上の最適位置は?
自 転車に跨がって真上からクランク部分を見下ろすと、180度位相の偏じたクランクアームに車体中心線に対し直角にペダルが取り付けられ、ペダルシャフトは 緻密なベアリングで回転する。指拇球がY軸上の最適位置に置かれたとして、膝の真下になかったらどうだろう、広ければガニマタ乗り、狭ければオカマ乗りに なって長時間を速く走ることはできない。筋力を無駄なくペダルに落とすには、再度クリート位置を今度はX軸上で調整する必要がある。これをQファクターと いう,左右のクリート間距離に相当、狭ければ内側の踝がクランクに当たり、広すぎればガニマタでトルクが逃げてしまう。
 自転車を練習用ローラー 台に乗せ、60〜90回転/分でグングン踏んだとき、膝が車体縦軸に正しく平行に上下を繰り返すようクリートを内側に入れたり、外側に出したり膝のストレ スと相談しながら時間をかけて最適位置を決める。これがいい加減だと走って遅いばかりか脚に障害を生じる。だいいちガニマタ乗りが格好よいわけがない、玄 人はどの角度から見ても粋でなければならないのだ。
事故やトラブルで車体を乗り換え、時間のないときの簡易的調整法は、靴を履いて地面に普通に 立って膝の間に本を何冊か挟み、チカラを入れて挟まずとも落ちない量の本の厚みを測り、その距離をQファクターとしてもよい、とよく話すがレースコースの 現場に何冊もの本があるとは思えない、スペアの車体を用意できるほどのリッチマンなら、事故やトラブルを生じさせないジェントルマンであるべき、それでこ そ粋というものだ。
 X・Y軸があるなら、ならばZ軸は?
Z軸はペダルシャフト中心線からクリートを介して固定された靴内の、裸足の拇指球が接触するところまでの距離、靴とペダルの厚みに相当する。こればかりは後調整不可、購入したペダルと靴のメーカー選択で決まってしまう。
工学的にはゼロにしたい数字なのだろうが、クランクアーム長の延長と思えば何てこともない。ツール・ド・フランス七連覇ランス・アームストロング選手の靴とペダルは拙僧と同じシマノだが、ペダル厚みは厚いものが好み、とのコメントを読んだことがある。
 ヴィンディングタイプのペダルと靴で自転車を走らせたときのメリットはなんだろうか?
立ちゴケの危険を越えても得られるメリットとは?

神のトリック種明かし最終章の前にライティングフォームについて少し述べたい。
42.2Kmを三本走り切った彼は、そのまま四本目の走行に入り、汗の量が目立つもののまだまだ元気だ、ライデングフォームに乱れがない。
ハンドルに添えた両手、サドルを挟む尻、ペダルに固定した左右の足、五点支持とはいえ乱れがないのはどういう訳か?
じつはここにも、自転車がランよりも人体に都合よく出来ているヒミツがある。
人類が進化の過程のいつ頃に直立して歩行するようになったのかは、ここでは問題になら
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