特別寄稿 第三部 ”カド号千里を走る   俊水 (c)
類は車輪を二度発見することはできない…か?

あり覆されることはない。
燃料にしろ食料にしろ太陽と地球から一時預かりしたエネルギーは、姿 かたちを変えつつ熱量としての仕事量をこなして消費されることにより、最後には大気や大地や海に放熱して地球に還し、借り方と貸し方をゼロにして1サイクルを終える。
だから、方法は違っても同じ距離を進むに要するエネルギーは同量である。と言っている。
では何故、足で走ったランナーが疲労困憊しているのに、ドライジネ−タ−は笑顔でフィニッシュするのか?
神の存在の効力を多少認めつつ、不遜ながらわが読者諸氏に代わりトリックを暴かさせていただく。

 第三惑星地球は第二惑星金星より場(ば)がひとつ多い組成になっている、金星では「距離」と「時間」で成り立ちが成立しているのに対し、地球は「質量」がプラスされて三次元の成り立ちなのだ。(第四惑星火星ではこの伝でゆくと四次元となるが…)
「質量」とは高さまたは重さと訳すまたは約すと解りやすい、つまりエネルギーの量と言って差支えないと考える。
何度も言って恐縮だが「エネルギー不変の法則」は絶対である。
では、同じ距離を足で走ったランナーと、自転車で走ったドライジネ−タ−とのカラダにどんな差異が生じたのか?
距離と消費エネルギーが同じなら時間の大小だけが異なることにならないと、
 距離=消費エネルギー×時間 転じて 消費エネルギー=距離÷時間 時間=距離÷消費エネルギー の式が成り立たないから、ランナーとドライジネ−タ−の違いは、フィニッシュラインへの到達所要時間が半分だということになる。
現在の自転車で、そのあたりを検証してみたい。                         
実際にマラソンコースを走ってみよう。身体能力のほぼ措抗(きっこう)したふたりのアスリート、
一方はランで他方はバイクで42.2km先のフィニッシュ地点をめざし同時にスタートする。
コース上のエイドステ−ションでの補給は自由、無風快晴湿温度最適同条件障害なし。
フルマラソンを3時間で走り切るアスリートは市民レベルでは相当以上の上位者である、
オリンピック候補選手として招聘(しょうへい)されるに充分の実力だが、ここでは計算のしやすさから3.0時間でフィニッシュしたとさせていただくと、時速14.06km で走ったことになる。
バイクのほうはさすがに先にフィニッシュしていて1時間30分だった、時速換算28.13km、
ふたりともエイドで水分とパワーサプライは十分に摂って走り続け、摂取総カロリーはほぼ同じ、際立って違うのはフィニッシュ直後のふたりの表情、ランナー が息も絶え絶えに倒れ込み医師の手当てを受けたのに対し、バイカ−は余裕のウイニングランをして、冷水で顔を洗うと、「さぁ もう一本行くぞ!」の元気 さ、
この違いは何か。移動の距離は同じ、消費カロリーも同じ、異なるのは成し終えるに要した時間が半分だったことだけ、それだけでかくも天国と地獄ほどの違いがふたりに現われ
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