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特別寄稿 ”われら団塊S”   俊水
…「山川草木悉有仏性」天台教義のもと ただ駆ける―千日。
七年間で一千日の回峰巡拝 満行までには一万里、地球―周に値う。
見守るものは樹上の哲猿(サルトル) 岩陰の白蛇(クレオパトラ) 滝裏の岩魚(タキタロウ)、 熊を凌駕し カモシカを追越す
吸フ吸フ吐クの息継ぎの音 山と里に谺(こだま)行き交い 麓の村人山に向かいて両手を合わす。
 成し終えた者 阿闍梨(あじゃり)を称す さらに行を重ねし大阿闍梨(だいあじゃり)は幾人もなし。
 拙僧 この千日回峰行 自転車(バイク)で走り始めて今年 3年目の元旦 川原の土手の霜芝(しもくさ)に愛車ともども端座し、初日ご来光ありがたく 二拍三礼四顧、元気に伏し拝みましたること、ご報告かたがた近況心境など申し述べ大兄のご機嫌とり結びたく 一筆さしあげたる次第。

 野州下野(しもつけ)国 鬼怒(きぬ)川サイクリングロ−ド 行者の絵笠にさも似たるへルメット被り 背に帯行の替えチューブとカロリ―メイト、宗門旗染めしボトルをフレ−ムにたばさんだ真紅のトライアスロンバイク駆りて休日を毎日、ひとり走り始めてより仏の慈悲が胎内を駆け巡ったか。一本目のタイヤを磨り減らした頃には、わが肉体みごと適正体重に戻り同時に血圧血糖尿酸値その他健康診断必須項目おしなべて所見なし、体脂肪率若者級 老眼性かすみ眼まで良くなる始末。
年度末には会社の健康保険組合から医療機関不使用者年間表彰まで貰う苦笑の名誉。
 夜明けと共に棲かを出 9km先のサイクルロ−ドまでは歩道を安全に進み、ロ―ドに乗ったら赤鬼やしかり。
胸に黒檀の数珠 手首に癌撲滅ランス基金イエロ−バンド 鼻孔拡張テ−プを鼻に 瞼の下に反射止めの隈 サングラスはオ−クリ−の老眼度入りミラ−仕様 金色(チャンピオン)のへルメットにはランス.ア−ムストロング師のサイン護摩符の如く異彩を放つ。
 この冠を戴いたまま後続車に先を譲るは死を以てしても贖える(あがなえる)ものにあらず、前行くものは必ず報うる。
猫の様に忍び寄り 豹の如く加速し 虎の強さで一気抜き去り 獅子の威厳で追走を許さぬ。
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