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所得税
「所得」と所得税
  • 所得

    • 所得とは、収入等の形で新たに獲得する経済的利得をいう。
  • 所得税

    • 個人が獲得した所得は、それぞれの所得の生ずる形態に応じて担税力(税金の支払い能力)に差異があることを考慮して、それに最も適した所得金額の計算を行うため、その所得の発生源泉に応じて10種類に分類され、これらの所得に対して所得税が課税される。
      • 所得の種類 摘  要 所得金額計算
        1 利子所得 預貯金や公社債の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配に係る所得 利子所得
        2 配当所得
        • 株主や出資者が法人から受ける配当
        • 投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託以外のもの)及び特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得
        配当所得
        3 不動産所得 土地や建物などの不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機の貸付けによる所得
        • 地上権又は永小作権の設定その他、他人に不動産等を使用させることを含む
        • (事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く
        不動産所得
        4 事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得
        • 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になる
        事業所得
        5 給与所得 勤務先から受ける給料、賞与などの所得 給与所得
        6 譲渡所得 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のもの。
        • 事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを 譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得とならない
        譲渡所得
        7 退職所得 退職により勤務先から受ける退職手当や加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得 退職所得
        8 山林所得 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得を いいます。
        • 山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合には、山林所得ではなく、 事業所得又は雑所得になる
        山林所得
        9 一時所得 一時所得とは、上記1から8までのいずれの所得にも該当しないもので、
        営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のものであって、
        労務その他の役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいう。

        1. 懸賞や福引の賞金品、競馬や競輪の払戻金
        2. 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金
        3. 法人から贈与された金品
        一時所得
        10 雑所得 雑所得とは、上記1から9までの所得のいずれにも該当しない所得で、例えば次に掲げる所得が該当する
        1. 公的年金等
        2. 個人年金保険の年金方式受取額
        3. 非営業用貸金の利子
        4. 著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税
        雑所得

所得税の課税方式
  • 所得税の課税方式の分類
  • 総合課税 10種類ある所得(税法上は9種類)を合計して、「総所得金額」を計算し、この総所得金額に、「所得税の税率(超過累進税率)」を掛けて所得税額を算出する課税方法。

    • 利子所得(源泉徴収(源泉分離課税)されるものを除く)
    • 配当所得(源泉徴収(源泉分離課税)されるものを除く)
    • 事業所得(株式等の譲渡等による事業所得を除く)
    • 不動産所得
    • 給与所得
    • 譲渡所得
      • ※1※2、及び源泉徴収(源泉分離課税)されるものを除く)
    • 一時所得(源泉徴収(源泉分離課税)されるものを除く)
    • 雑所得
      (株式等の譲渡などによる雑所得、源泉徴収(源泉分離課税)されるものは除く)
    • 個人の場合
      • 10種類に分類して計算した各種所得の金額を合計し、確定申告によりその合計所得金額の大きさに応じて税金を納める「総合課税」が原則
        ただし、次の所得については、その支払者が支払いの際に、所得税を「源泉徴収(源泉分離課税)」」して納付する。
        • (イ).利子所得  (源泉分離課税)
        • (ロ).割引債の償還差益  (源泉分離課税)
        • (ハ).定期積金の給付補てん金等  (源泉分離課税)
        • (ニ).配当所得
        • (ホ).源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡所得等
        • (ヘ).事業所得、譲渡所得、一時所得、雑所得などのうち所定の所得
        • (ト).給与所得
        • (チ).退職所得
        • 「源泉徴収」は、いわば所得税の前払いなので、源泉徴収所得税については、確定申告によって精算するのが原則となっている。
    分離課税 得た所得を他の所得と合計しないで、その所得単独で、分離して計算する課税方法

    申告分離課税

    • (確定申告が必要)

    次の所得は、申告分離課税とされている。
    • @上場株式等に係る配当所得(総合課税の選択可)
      • 上場株式等に係る配当所得については、納税者の選択により、申告する上場株式等の配当等のすべてについて、申告分離課税と総合課税のいずれか一方を選択しなければならない。
      • 申告分離課税を選択した場合には、配当控除は適用されない
    • A株式等の譲渡所得
      • 個人が株式等を譲渡した場合の譲渡所得
        • 上場株式等の譲渡により生じた所得について確定申告を行う場合には、他の所得と分離して所得税の金額を計算する分離課税制度が適用される。
        • 個人が行う株式等の譲渡による所得は、申告分離課税にするか、源泉分離課税にするか選択できる。
    • B一定の先物取引による雑所得
    • C土地建物等の譲渡による譲渡所得
    • D退職所得
    • E山林所得
    源泉分離課税
    • 預金などの利子 (比例税率)
    • 得られた所得からすでに一定の税率によって税金が徴収されている。(源泉徴収される分離課税)

所得税の確定申告
  • 課税方式と確定申告
    • 所得の区分 確定申告の要否等 備考
      (a)
      総合課税の所得
      (超過累進税率)
      上場株式等に係るもの以外の配当所得 要申告 確定申告をすることが前提
      源泉徴収された所得税があるときは、確定申告の際に精算
      ※(c):少額配当等は申告不要の選択可
      下記以外の事業所得、不動産所得など 要申告
      (b)
      申告分離課税の所得
      (比例税率)
      上場株式等に係る配当所得 要申告
      (総合課税との選択可)
      ※(c):申告不要の選択可
      株式等に係る譲渡所得等 要申告
      ※(c):源泉口座は申告不要の選択可
      一定の先物取引による雑所得 要申告
      土地建物等の譲渡による譲渡所得 要申告
      山林所得 要申告
      退職所得 ※(c):原則として申告不要
      (c)申告不要 ※(c)は(a)(b)のうち
      申告不要の特例を選択した所得
      本来(a)または(b)に含めるべき所得
      納税者の選択により確定申告をする所得に含めないことができる。
      (d)
      源泉分離課税の所得
      (比例税率)
      利子所得 申告不可 一定の税率で源泉徴収されることにより課税関係が完結する
      確定申告をする所得に含めることはでできない
      割引債の償還差益 申告不可
      定期積金の給付補てん金など 申告不可
      (e)
      所得税が
      かからない所得
      非課税所得
      (遺族年金など)
      申告不要 確定申告の有無にかかわらず非課税
      免税所得
      (肉用牛の売却による農業所得)
      要申告 申告書に所定の事項を記載して申告することが免税の要件
    • 総合課税

      • 10種類に分類して計算した各種所得の金額を合計し、確定申告によりその合計所得金額の大きさに応じて税金を納める「総合課税」が原則となっている。

         
    • 総合課税以外の課税方式

      • 所得税の課税方式は総合課税が原則だが、例外として、
        • 源泉分離課税となる所得、
        • 申告分離課税となる所得、
        • 又は申告不要を選択することができる所得がある。
        • 所得税のかからない所得もある。
        • 源泉分離課税の所得は、源泉徴収のみで課税関係が完結することになっているため、その源泉徴収税額の還付を求めて確定申告をするようなことはできない。
    • 源泉徴収および源泉分離課税と確定申告の関係

      • 上記の通り、源泉徴収された所得税は、原則として確定申告の際に精算することになっている。ただし、次のような例外があることに留意。

        • 上記(イ)利子所得、(ロ)割引債の償還差益、(ハ)定期積金の給付補てん金等(下表「所得税の課税方式の分類」C)の各所得については、総合課税の例外として源泉分離課税とされている。
          • 源泉分離課税の場合には、一定の比例税率による源泉徴収のみで課税関係が完結し、確定申告をすることはできない。
            • ただし、公社債等の利子のうち源泉徴収 の規定が適用されないものや国外の銀行等に頂けた預金の利子などは、総合課税となる。
        • 上記(ニ)「配当所得」のうち、私募公社債等運用投資信託の収益の分配および社債的受益権の収益の分配に係る配当等についても、源泉分離課税とされている。
        • 証券会社等に設定した源泉徴収選択口座に受け入れた上場株式等に係る配当等の金額は、上記(ホ)の口座内の上場株式等に係る譲渡所得等の赤字の金額と差引計算し、残額があるときはその残額について源泉徴収をすることになっている。
        • 上記(ヘ)の所得は、外交員や司法書士などの報酬に係る所得で、このうち、公的年金等に係る雑所得については、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年金以外の他の所得の金額が20万円以下の人は、確定申告をしなくてもよいことになっている。
        • 上記(ト).給与所得について、その年の最終の給与の支払時に「年末調整」を受ける場合で、(ト)以外の所得がないときには、(原則として)確定申告をする必要はない。
        • 上記(チ).退職所得について、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合には、(原則として)確定申告をする必要はない。

  • 確定申告の対象となる所得の税額計算の仕組み

    • 「所得税の課税方式の分類」および「確定申告の対象となる、総合課税と申告分離課税」の所得の種類と、税額計算の仕組みを整理すると、右図のようになります。

    所得税の計算体系


    所得税は、一定の趣旨から非課税とされる所得があるため、それらを除外した所得を基に、4段階で計算をする。
    総所得金額は、「2.課税標準の計算」の部分となる。

     1.各種所得の金額の計算
     2.課税標準の計算(総所得金額の計算)
     3.課税所得金額の計算
     4.納付税額の計算

    課税標準とは

    • 課税標準とは、税額計算の基礎となる金額をいう。
    • 所得税法では、所得税の課税標準を「総所得金額」、「退職所得金額」、「山林所得金額」の3本立てとしている。
      総合課税の対象となる所得と退職所得、山林所得は、所得金額が多額なほど税率が高い超過累進税率が適用される。
    • ただし、特定の所得については、租税特別措置法の規定により、分離して課税する。

    総所得金額の算出プロセス

    所得税の課税標準を見ると、総所得金額を算出するには、
    利子所得、不動産所得、事業所得、給与所得、総合課税の配当所得・短期譲渡所得および雑所得の合計額(損益通算後の金額)と、
    総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額を合計した額となる。
    「損失の繰越控除」を受けている場合は、その適用後の金額が総所得金額になる。

    「合計所得金額」と「総所得金額」の違い

    • 合計所得金額

      • 「合計所得金額」は、損失の繰越控除前の総所得金額に、退職所得の金額、山林所得の金額、分離課税の土地・建物等の譲渡所得の金額や、分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額などを加えた金額である。
      • 「合計所得金額」は、所得要件の基準として使われている。
        所得税の配偶者控除における控除対象配偶者の「合計所得金額38万円以下」や、住宅借入金等特別控除の要件である「合計所得金額3,000万円以下」などで使用されている。
        (「総所得金額」は、前年以前の損失の繰越控除の影響を受けてしまう)
    • 総所得金額等

      • 「総所得金額等」とは、合計所得金額から損失の繰越控除をした後の金額をいう。
    • 総所得金額の計算
      • 課税標準の計算を行うときは、合計所得金額、総所得金額および総所得金額等の違いを理解する。
      • 「総所得金額」を求めるには、損益通算や損失の繰越控除など考慮しなければならない。
      • 課税標準の計算の次のステップである「所得控除」では、まず、総所得金額から控除していくことになる。
      • 総所得金額は、所得税額を求めるうえで、重要な位置づけとなっている。
    • (例題)「総所得金額」の計算

      • 不動産所得 △50万円(土地等を取得するための負債利子70万円)
      • 給与所得  900万円
      • 一時所得  100万円
      • 非課税所得、分離課税なし、損失の繰越控除なし
       
      • 不動産所得は△50万円だが、土地等を取得するための負債利子70万円は損益通算の対象外のため、総所得金額に総合する金額は0円
      • 一時所得はその2分の1が課税対象となるので、50万円
      • 「総所得金額」=「0円(不動産所得)+900万円(給与所得)+50万円(一時所得)=950万円

    • 損失の繰越控除
      • 所得金額の計算は、一暦年ごとの期間計算を建前としているが、損失の発生に伴う担税力の減少を考慮して、暦年計算の例外として、翌年以後最長3年間の損失の繰越控除を認めている。これを損失の繰越控除という。
        • 損失の繰越控除には、「純損失の繰越控除」と、「雑損失の繰越控除」等がある。
          純損失の金額とは、損益通算をしても控除しきれなかった損失をいい、雑損失の金額とは、雑損控除について控除しきれなかった損失のことをいう。
        • 純損失と雑損失の両方の繰越しがある場合、先に純損失から控除する。

    所得税の課税標準、税額計算、損益通算等の位置づけ
    総合課税 申告分離課税
      租税特別措置法の規定  






    額 






    額 







    額 






    額 






    額 












    額 





    額 
    退





    額 






    額 



























































































    額 


















    @ C A B K K H I J
    損益通算 損益
    通算
     損益
    通算
    ×1/2
    合計所得金額
    純損失 ・ 雑損失の繰越控除 雑損失の繰越控除
    総所得金額 退








































































































    特別
    控除
    総所得金額等
    所得控除








    退




















































































































    超過累進税率 比例税率
    ↓ 
    算出税額 
    ↓ 
    税額控除等・源泉徴収税額の控除等 
    ↓ 
    申告納税額 

  • 各種所得の損益通算

    損益通算可能な所得(その所得がマイナスになったとき他の所得と損益通算可能な所得)は、不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得で、「富士山上」という覚え方でも知られている。
    • 損益通算を行う際に注意する所得
      • 総合課税の長期譲渡所得
        • この所得に対して総合される(課税対象となる)のは、2分の1相当額である。
          譲渡所得は、一般に資産の長期所有により発生した増加価値が資産の譲渡により一時に実現するものであり、そのまま他の所得と総合し、超過累進税率を適用すると税負担が重くなってしまう。
          そこで、負担の公平性を図る見地から、所得金額の2分の1相当額を他の所得と総合し、課税することになっている。
      • 一時所得
        • 一時所得は、一般に臨時的に発生するものであり、総合課税の長期譲渡所得と同様に、所得金額の2分の1相当額を他の所得と総合する。
      • ※ どちらの所得も損益通算後の金額を2分の1にする点に注意(損益通算は2分の1にする前の金額で行う)。
    • 総合課税の各種所得の間では、それぞれの黒字と赤字の金額を「損益通算」して、総所得金額を計算する。この場合、退職所得と山林所得も、その損益通算の対象となる。
    • 損益通算等の対象とならない所得

      「総合課税」の所得のうち次の@〜Fの所得の赤字は、損益通算および純揖失の繰越控除等の対象にはならない。
      • @配当所得の計算上生じた赤字
      • A一時所得の計算上生じた赤字
      • B雑所得の計算上生じた赤字
      • C不動産所得の計算上生じた赤字のうち土地等の取得に係る借入金利子に対応する部分の金額
        • 不動産所得のうち、土地等を取得するための負債利子は損益通算の対象とならない。
          建物を取得するための負債利子は損益通算の対象となるため間違いやすい。
        • 不動産所得の 土地建物を(一緒に)、購入資金の一部を借入によりに取得し、その内訳(土地/建物)が区分されていない場合、取得に要した負債の額は先ず建物に割り当てられる。
      • D特定の組合事業または特定の信託から生じた不動産所得の計算上生じた赤字
      • E有限責任組合の事業から生じた不動産所得、事業所得または山林所得の計算上生じた赤字
      • F生活に通常必要な資産に係る所得の計算上生じた赤字
      • G生活に通常必要でない資産の譲渡損失
        • 「生活に通常必要でない資産(次に掲げるものに限ります。)」の災害による損失は一定の定めにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又は、その翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除できるが、それ以外のもの及び控除しきれないものは生じなかったものとみなされ、譲渡により生じた損失は、他の種類の所得の金額との損益通算はできない(所法62、69(2)、所令200(1)(2))。 (同一所得内の通算は可)。
          • 「生活に通常必要でない資産」とは、主として個人の趣味や娯楽又は保養のために所有している次のような資産をいう(所法62(1)、所令178)。
            イ.競走馬(事業用は除く)その他射こう的行為の手段となる動産
              (競走馬の保有に係る雑所得とは損益通算可(所令200(2))
            ロ.別荘など、趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産
            ハ.生活の用に供する動産で、生活に通常必要とされないもの及び次のいずれかに該当するもの(1個又は1組の価額が30万円を超えるもの)
            • 貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べっこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品、七宝製品
            • 書画、骨とう及び美術工芸品
          • ゴルフ会員権の譲渡
            • 平成26年4月1日以後に行ったゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は、原則として、給与所得など他の所得と損益通算することはできない。
          生活に必要な資産か? 動産/
          その他
          資産 雑損
          控除
          災害
          控除
          譲渡益 損益
          通算
          生活に必要な資産
          (※1)
          動産 家具、什器、衣類 非課税
          30万円以下の宝石、貴金属、書画、骨董
          (F)
          通勤用自動車
          動産以外 居住用不動産 (※2) 課税
          生活に必要でない資産
           (G)
          動産 30万円超の宝石、貴金属、書画、骨董
          (令178@三)
          × 課税 ×
          競走馬(令178@一)
          動産以外 別荘(土地、建物、借地権)
          (令178@二)
          ×
          事業所得用資産
          不動産所得用資産
        • 雑損控除(災害や盗難、横領等によって所有資産に損害を受けた場合の控除)
          • (※1)”生活に通常必要な資産”の用語は法9条1項9号の非課税の規定で使用されているが、令25条で「動産」に限定されている。

            • 法72条の雑損控除の規定では、一部の生活に必要のない資産と事業用資産が除かれているため、生活に必要な資産は全て雑損控除の適用対象となる。
    • 申告分離課税の所得のうち次の赤字も、損益通算および純損失の繰越控除等の対象にはならない。

      • 上場株式等に係る配当所得の計算上生じた赤字 H
      • 株式等に係る譲渡所得等の計算上生じた赤字 I
        又、株式等に係る譲渡所得等以外の所得の損失も、株式等に係る譲渡所得等の金額と損益通算できない。
        • ただし、
          株式等に係る譲渡所得等の計算上生じた赤字について、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得との損益通算の対象となる(非上場株式等の配当金は対象外)。
          • 上場株式等の譲渡損失の損益通算および繰越控除
            • 上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等に係る配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る)と損益通算ができる。
            • また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以降3年間にわたり、確定申告により株式等に係る譲渡所得等の金額および上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除することができる(租税特別措置法第37条の12の2)。
            • 上場株式等の譲渡損失がある場合は、(繰越された譲渡損失ではなく)先ずその年分の上場株式等配当所得と通算する。
      • 先物取引に係る雑所得等  J
        • ただし、先物取引に係る雑所得等の計算上生じた赤字は、翌年以後3年間に繰り越して、それぞれの年分の先物取引に係る雑所得等から差し引くことができる。
        • (※逆に)、先物取引に係る雑所得等以外の所得の損失も、先物取引に係る雑所得等の金額と損益通算できない。
      • 土地建物等に係る譲渡所得 K  (※2) (マイホームを買い換えたときの特例あり)
    • 損益通算可能な分離課税の対象範囲(上場株式等のグループと一般株式等のグループ)

      平成28年1月1日|以後、上場株式等のグループ内で、損益通算および3年間の繰越控除ができるようになりました。
      「上場株式等のグループ」とは、「上場株式、公募株式投資信託、特定公社債等」を指し、「一般株式等のグループ」とは、「未上場株式、私募株式投資信託、一般公社債等」を指します。
    • 上場株式等のグループ ー般株式等のグループ
      • 上場株式等のグループと一般株式等のグループは、別々の分離課税制度の対象となりました。

        • 上場株式等のグループ内で、
          特定公社債等に係る利子等譲渡損益および償還差損益は、上場株式等の配当等や譲渡損益と損益通算ができます。
          また、損益通算の結果、控除しきれない損失の額については、確定申告により翌年以後3年間繰り越すことができます。
      • 上場株式等と一般株式等の各グループ間では損益通算できません。
      • 上場株式等と一般株式等の譲渡損益は、損益通算できません。
      上場株式
      公募株式投資信託
      特定公社債等
      未上場株式
      私募株式投資信託
      一般公社債等
      グループ内で
      • 損益通算可能
      • 3年間の繰越控除が適用
      グループ内で
      • 損益通算可能
      • 繰越控除の適用なし
    • 損益通算の順序
        • (1) 経常グル−プ 利子所得 第一次
          通算
          第二次
          通算
          第三次
          通算
          • 「赤字となる所得」以外は、損益通算不可
            (又は、赤字にならない)
          • 損失をどの所得から控除するかによって、
            課税標準(総所得金額など)が異なってくる。
          • (2) 臨時グル−プ、山林所得の損失は、
            最終的に他のグル−プと通算可。
          配当所得
          不動産所得
          事業所得
          給与所得
          雑所得
          (2) 臨時グル−プ 譲渡所得
          一時所得
          山林所得
          退職所得

          •    赤字となる所得
          • 「一時所得」又は「総合長期譲渡所得」と通算する場合には、50万円特別控除後で、2分の1前の金額と通算する(所得税法22)。
  • 確定申告をしなければならない人

    所得税は、納税者が自分の暦年1年間の所得や税額を計算し、それを確定申告書に記載して翌年の2月16日(源泉所得税の還付を受けるための申告書については1月1日)から3月15日までの間に税務署へ提出するとともに、税金を納付する申告納税制度を取っている。
    確定申告には、年に1回行う一般の確定申告の他に納税者が死亡したり、出国するときに行う確定申告がある。
    確定申告をしなければならない人は、次表に掲げる人。

    • @
      一般の人の場合
      利子、配当、不動産、事業、給与、譲渡、一時、雑、山林、退職所得のある人でこれらの所得全額の合計額が所得控除の合計額を超える人は、確定申告をしなければない。
      ただし、その超える額に対する税額よりも配当控除額が多いときには、確定申告はしなくてもよい。
      A
      給与所得者の場合
      給与所得者は、大部分の人は年末調整により納税手続きが完了し確定申告をする必要はない。
      給与所得者であっても、次のいずれかにも該当する人は、確定申告をしなければならない。

      • その年中の給与等の収入金額が2000万円を超える人
      • 1ヵ所から給与を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人
      • 2ヵ所以上から給与を受けている人で、主たる給与の支払者以外の給与の支払者から支払いを受ける給与の収入金額と、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える人
        • ただし、給与の収入金額から社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震(損害)保険料控除、障害者控除、寡婦・寡夫控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除および扶養控除の額の合計額を差し引いた残りの金額が150万円以下で、しかも給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の人は申告の必要はない。
      • 同族会社等の法人の役員等の特定の人で、その法人から給与所得の他に特定の対価の支払いを受けている人 。
        • 「特定の人」とは、次の人をいう。
          1. 同族会社である法人の役員
          2. 役員の親族である、またはあった人
          3. a.の役員とまだ婚姻の屈け出をしていないが事実上婚姻関係と回様の事情にある、またはあった人
          4. a.の役員から受ける金銭その他の資産によって生計を維持している人
        • 「特定の対価」とは、給与等の支払いをするその法人の事業に係る貸付金の利子または不動産、動産、営業権その他の資産をその事業の用に供することによる対価をいう
      • 災害によって住宅または家財に被害を受けたため、災害減免法の適用を受けて給与所得の源泉徴収の猶予を受けた、または徴収された税金の還付を受けた人
      • 源泉徴収がされないことになっている給与等の支払いを受ける次の人で、所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える人
        • a 常時2人以下の家事使用人を使用している雇主から給与の支払いを受ける家事使用人
        • b 在日外国公館や国外で給与の支払いを受ける人
      B
      退職所得のある人の場合
      退職手当等の支払いを受ける人は、その支払いの際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出した場合には、(経営者であっても)源泉徴収によって所得税額が精算される。

      • これにより、通常その退職所得についてはあらためて確定申告をする必要はない。
      • 確定申告書の提出がない場合で、課税退職所得金額に対する税額を計算してその税額が源泉徴収された税額よりも多くなるときは、退職所得について確定申告をしなければならない。
      C
      年金所得者の場合
      年金所得者で@に該当する人は、確定申告をしなければならない。

      • その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年金以外の他の所得の金額が20万円以下の人は、確定申告をしなくてもよい。
      D
      その他
      次に掲げる場合には、損失申告書を提出する。

      • 損益通算を行った結果、純損失の金額が生じたとき
      • 上場株式等の譲渡所得等や先物取引に係る雑所得等の計算上生じた損失、特定中小会社の特定株式の譲渡等による損失が生じたとき
      • 一定の要件に当てはまる居住用財産の譲渡による損失が生じたとき
      • 雑損控除額が所得金額の合計額より多いとき
  • 還付を受けられる人

    源泉徴収された税金や予定納税した税金がその年分の所得金額について計算した税額より多いときは、確定申告をすることによって過納分の税金が還付される。
    この申告書は、その年の翌年1月1日から税務署で受け付けている。

    • 所得金額が一定額以下の人で、総合課税の配当所得や原稿料などがある人。
    • 給与所得者で、雑損控除や医療費控除、寄附金控除、特定増改築等・住宅借入金等特別控除、住宅新築・改修等特別控除、政党等寄附金特別控除などを受けることができる入。
    • .所得が公的年金等に係る雑所得のみの入で、医療費控除や社会保険料控除などを受けることができる人
    • ,年の中途で退職した後就職しなかった人で、年末調整を受けなかった入
    • 退職所得があり、退職所得の支払いを受けるときに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったため20%の税率で源泉徴収がされた人で、その源泉徴収税額が正規の税額を超える人
    • 予定納税をしている人で、確定申告の必要がなくなった人
  • 確定申告書の様式

    確定申告の際に提出する申告書にはA様式とB様式の2種類があり、申告書の別表として第三表(分離課税用)・第四表(損失申告用)がある。

    • 申告書A
      • 年末調整を受けた給与所得を有する会社員が、医療費控除の適用を受けて源泉所得税の還付を受ける場合はA様式を使用する。
      • 医療費控除以外の諸控除の記載は省略可。源泉徴収票と医療費の領収書を添付して提出する。
    •  申告書B
      • 年末調整を受けた給与所得の他に不動産所得を有する会社役員の場合はB様式を使用する。
      • 源泉徴収票を添付して提出する。 

所得金額の計算の仕組み
  • 所得金額の計算の基本算式

    • 各種所得の所得金額は、10種類に区分されたそれぞれの所得ごとに計算する。所得金額の計算方法は、所得の種類によつて違いがある。
    • 一時所得および総合課税となる譲渡所得のうちの長期譲渡所得は、総所得金額を計算する際に2分の1の額にする。
  • 所得金額を算出するための基本算式
  • 所得の種類 所得金額の計算方法 控除等
    1 利子所得 (収入金額)=(所得金額) 外貨預金の利子と為替差損益
    2 配当所得 (収入金額)−(元本取得のために要した負債の利子)=(所得金額) 配当控除
    配当所得の課税関係
    3 不動産所得 (収入金額)−(必要経費)=(所得金額)
    4 事業所得 (収入金額)−(必要経費)=(所得金額) 青色申告特別控除
    5 給与所得 (収入金額)−(給与所得控除額または特定支出控除額)=(所得金額) 人的控除
    医療費控除
    住宅借入金等特別控除
    6 譲渡所得 (収入金額)−(資産の取得費・改良費・設備費・譲渡経費)−(特別控除額)=(所得金額) 土地及び建物等の譲渡所得
    株式等の譲渡所得
    総合課税の譲渡所得の計算

    特定居住用財産の譲渡損失
    7 退職所得 〔(収入金額)−(退職所得控除額)〕×1/2=(所得金額)
    8 山林所得 (収入金額)−(山林の植林費・取得費・管理費・伐採費・その他必要経費)−(特別控除額)=(所得金額)
    9 一時所得 (収入金額)−(収入を得るための直接支出費)−(特別控除額(最高50万円))=(所得金額)
    10 雑所得
    • (公的年金等の収入金額)−(公的年金等控除額)=(A)
    • (公的年金等以外の収入金額)−(必要経費)=(B)
    • (A)+(B)=(所得金額)

    • 雇用保険法により支給を受ける失業等給付(基本手当)は、非課税所得(雇用保険法第2条)

      • 失業保険は税法上は非課税となり、所得税、住民税の課税対象とならず、国民健康保険の所得割額からも除外される。しかし、社会保険の扶養者になる場合は、失業保険も収入として見なされる。
        失業保険の基本手当日額が3,612円以上ある場合は、年収の見込み額が130万円を超える為、扶養として認定されない。
    • 必要経費等の内容

      上記の、収入金額から差し引く「必要経費」とは、個人事業者等が収入を得るために必要な経費のことをいい、次のうなものがある。

      • 租税公課
      • 地代・家賃、損害保険料等
      • 接待費、交際費
      • 借入金利子、割引料
      • 福利厚生費
      • 修繕費
      • 減価償却資産、繰延資産の償却費
      • 貸倒損失等
      • 雇人費、事業専従者給与 
    • 次のような費用は、必要経費にならない。

      • 家事用の費用(衣食住費、養育費などの生活費)
      • 家事関連費のうち家事分の費用(ex:店舗兼住宅などの地代、家賃、火災保険料、水道光熱費、固定資産税、不動産取得税などのうちの住宅部分に相当する金額)
      • 所得税、住民税、罰金、科料、過料、国税の延滞税や加算税、地方税の延滞金や加算金
    • 「給与所得」の「給与所得控除額」、「退職所得」の「退職所得控除額」および「雑所得」の「公的年金等控除額」は、それぞれの収入金額に応じて計算される法定の控除額。

所得控除と税額控除
  • 人的控除

    • 扶養控除

      • 控除対象扶養親族を有する場合には総所得金額等から扶養親族の種類により一定金額を控除する(所得税法第84条)。

        • 区分  控除額 備考、親族の合計所得金額
          基礎控除  38万円
          配偶者控除 一般の控除対象配偶者 38万円
          老人控除対象配偶者  48万円 控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上
          一般の控除対象扶養親族  38万円 38万円以下(収入が103万円以下)
          特定扶養親族  63万円 控除対象扶養親族のうち、年齢19歳以上23歳未満の者
          老人扶養親族 同居老親等以外  48万円 38万円以下
          (公的年金のみが収入の場合、65歳未満で108万円、65歳以上で158万円以下)
          同居老親等  58万円

        • @控除対象扶養親族
          • 扶養親族とは、その居住者の同一生計親族(配偶者を除く)のうち、合計所得金額が38万円以下である者をいい(同法第2条第34号)、
          • 控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち年齢16歳以上の者をいう(同法第2条第34号の2)。
        • A特定扶養親族
          • 控除対象扶養親族のうち、年齢19歳以上23歳未満の者をいう(同法第2条第34号の3)。
        • B同居老親等
          • 控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の者を老人扶養親族という(同法第2条第34号の4)、
          • 老人扶養親族のうち、その居住者またはその居住者の配偶者の直系尊属で、かつ、その居住者または配偶者のいずれかとの同居を常況としている者を同居老親等という(租税特別措置法第41条の16)。
        • 別居している両親が、公的年金のみが収入の場合、
          • 65歳未満で収入が108万円、65歳以上で158万円以下、かつ扶養の実態があれば控除対象扶養親族になる。
            • 扶養の実態
              • 生活費を仕送りしていること。金額の規定はない。
              • 生計を一つにしていること(親が子供の仕送りで生活していること)。
    • 寡婦控除

      • 本人が寡婦である場合、所得から寡婦控除額を控除することができる。寡婦に該当するかどうかの判定は、原則として、その年の12月31日現在の現況で判定する。

        • 寡婦控除額を控除することができる者は、次表のとおり。
          婚姻の状況 扶養親族等あり 扶養親族等なし
          合計所得金額が500万円以下 合計所得金額が500万円超
          死別後婚姻をしていない者
          又は夫の生死が明らかでない者
          対象 対象 対象外
          協議離婚後婚姻をしていない者 対象外
          離婚後婚姻している者 対象外

          • 扶養親族等ありの者

            • 扶養親族または総所得金額等が38万円以下の生計を一にする子(他の者の控除対象配偶者または扶養親族とされない者)を有する者

        • 寡婦控除額(所得税法第81条、租税特別措置法第41条の17)

          @.扶養親族である子を有し、合計所得金額が500万円以下である寡婦(特定の寡婦) 35万円
          A.@以外の寡婦 27万円
  • 生命保険料控除
  • 医療費控除

    • 医療費控除の対象となる居宅サービス等 
       医療費控除の適用  居宅サービス等の種類 医療費控除の対象・金額 
      @医療費控除の対象となる
      居宅サービス
      • 訪問看護
      • 訪問リハビリテーション
      • 居宅療養管理指導

        (医師等による管理指導)
      居宅サービス等に要する費用に係る自己負担額
      A上記@の居宅サービスと併せて利用する
      場合のみ医療費控除の対象となる居宅サービス
      • 訪問介護

        (ホームヘルプサービス)
      上記@の居宅サービス等に要する費用に係る自己負担額
      ※上記@の居宅サービスと併せて利用しない場合は、
      医療費控除の対象外
      B医療費控除の対象外となる
      介護保険の居宅サービス等
      • 認知症対応型共同生活介護
        (認知症高齢者グループホーム)
      • 特定施設入居者生活介護
        (有料老人ホーム等)
      医療費控除の対象外
      医療費控除の対象となる施設サービス
      医療費控除の適用 医療費控除の対象・金額
      医療費控除の対象となる施設サービス
      • C指定介護老人福祉施設
        • (特別養護老人ホーム)
        • 指定地域密着型介護老人福祉施設
      • D介護老人保健施設
      • D指定介護療養型医療施設
        • (療養型病床群等)
      Cは、施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)に係る自己負担額として支払った額の2分の1相当額
      DEは、施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)に係る自己負担額として支払った額
      医療費控除の対象外となる施設サービス
      上記C〜Eであっても医療費控除の対象とならないもの
      日常生活費、特別なサービス費用
  • 住宅借入金等特別控除

    • 居住者が住宅を新築又は建築後使用されたことのない住宅を取得し、要件を満たす場合、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる。

      1. 新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
        • 居住者が死亡した年、家屋が災害により居住の用に供することができなくなった年であれば、その日まで引き続き住んでいること。
        • 贈与による取得は、特別控除の適用はない。
        転勤時の取り扱い
        転勤状況 転勤期間中本人が
        居住できない場合
        転勤が明けて適用期間内に
        再入居した場合
        国内転勤 家族全員で転居 適用なし 適用あり

        ただし、勤務先からの転勤命令による転居など一定の場合に、
        予め所定の手続きを行っていることが要件となる。
        単身赴任 納税者が単身赴任で生計一親族が継続して
        居住している場合適用あり
        海外転勤 家族全員で転居 適用なし
        単身赴任 適用なし
        納税者が単身赴任で生計一親族が継続して
        居住している場合でも本人が非居住者であるため

      2. この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
      3. 新築又は取得をした住宅の床面積が50平方メートル以上、床面積の2分の1以上が居住用であること。

    • 借入金
      • 勤務先からの借入金は、返済期間が10年以上、年利率lが1%以上なら、この制度の対象となる(租税特別措置法第41条第1項第4号、第14項、同法施行令第26条第28項)。
      • 親族からの借入金は、この制度の対象となる借入金には該当しない(同法第41条第1項)。
    • 計算方法

      • 居住の用に供した年 控除期間 各年の控除額の計算
        平成26年4月1日から
        平成29年12月31日まで
        10年
        • 1〜10年目年末残高等×1%
        • 控除限度額=40万円(消費税率が8%又は10%のとき、それ以外の場合は20万円)
        (認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例)

        • 1〜10年目年末残高等×1%
        • 控除限度額=50万円(消費税率が8%又は10%のとき、それ以外の場合は30万円)
  • 雑損控除

    • 「雑損控除」とは
      • 災害、盗難、横領によって生活に通常必要な住宅や家具、衣類等の資産の損失を受けた場合に一定の金額の控除が受けられるもの。
    • 対象となる損失
      • 雑損控除は、災害、盗難、横領により受けた資産の損失を対象としている。
        • 雑損控除の適用がある資産
          • 雑損控除の適用がある資産は、居住用家屋、生活用動産(家具、衣服、什器、特価30万円以下の貴金属等)および現金である。(所得税法第72条第1項)。
            • 棚卸資産や、不動産所得、事業所得または山林所得を生すべき事業の用に供される固定資産等は、雑損控除の対象となる資産から除かれる。
            • 生活に通常必要でない資産(別荘、レジャー用ヨット、時価30万円超の貴金属・書画骨董等)に係る損失は、雑損控除の対象とはならない(同法第72条)。
        • 雑損控除の対象となる災害(同法施行令第9条)。
          • 震災、風水害、火災、冷害、雪害、干害、落雷、噴火その他の自然現象の異常による災害
          • 鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害
          • 害虫、その他の生物による異常な災害
        • 雑損控除は災害、盗難、横領による資産損失等をその控除対象としており、納税者の意思に関係なく被る損失のみを対象としている(所得税法第72条第1項)。
          • 詐欺による損失は、編されたとしても、送金した行為が納税者の意思に基づいてなされており、災害や盗難による損失に当たらないと解されている。また、振込みにより金銭が犯人側に移転しているため、横領による損失にも当たらないと解されている(平成23年5月23日国税不服審判所裁決)。
          • 盗難によって生活に通常必要な家財を失った場合は、原則として雑損控除の対象になる。
            • ひったくりによる盗難によって受けた損失は、雑損控除の対象となる。
    • 雑損控徐の額
      • 医療費控除とは異なり、雑損控徐には上限額は設けられていないが、一定の額(災害関連支出がない場合は課税標準の合計額の10分の1)を超える部分の金額が対象となる。
        • 次の金額のうちいずれか多い方の金額を控除可。

          • @ 差引損失額−(総所得金額等×10%)
            • (差引損失額=損害金額+災害関連支出金額−保険金等により補填される金額)
          • A 差引損失額のうち災害関連支出金額−5万円
      • 雑損控除は所得控除である。所得控除のうち雑損控除だけは、他の控除と区分して最初に所得金額から差し引くことになっている。
      • その年の所得金額から控除しきれない場合は、翌年以後3年間繰り越して各年の所得金額から控除することができる。
    • 雑損控除と災害減免法

税務申告、納税、徴収、届出
  • 非居住者・居住者

    • 非居住者と国内源泉所得の判定

      • 国内源泉所得に該当する給与とは、国内において行う勤務等(内国法人の役員として国外において行う勤務等を合む)に基因するものをいう(所得税法第161条第8号イ)。
        • →国内において支払われたものであっても、役員ではない会社員の海外勤務に係る給与は国内源泉所得には該当しない。
      • 国内源泉所得に該当する利子とは、日本国債、地方債、内国法人の発行する債券の利子、国内にある営業所等に預け入れられた預貯金の利子等をいう(同法第161条第4号)。
        • →国内にある金融機関の普通預金から生ずる利子は、国内源泉所得に該当するため所得税の課税対象となる。
      • 国内源泉所得に該当する配当とは、内国法人から受ける剰余金の配当、国内にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託等を除く)等の収益の分配をいう(同法第161条第5号)。
        • →その株式が国内にある金融機関に預けられているものであっても、外国法人から受ける剰余金の配当は、国内源泉所得には該当しない。
      • 国内源泉所得に該当する不動産の賃貸料とは、国内にある不動産の貸付けによる対価をいう。
        ただし、不動産所得になるもののうち船舶や航空機の貸付けによる対価については、その賃借人が居住者または内国法人の場合に、国内源泉所得に該当するものとされている(同法第161条第3号)。
        • →賃借人が日本人(居住者)であっても、外国に所在する不動産の賃貸料は、国内源泉所得には該当しない。
    • 非居住者が居住者になった年の所得控除の取扱い

      • 年の中途で非居住者が居住者になった場合の所得控除の取扱いは、以下のとおり(所得税法施行令第258条第3項)。

        • (1)雑損控除 : 非居住者期間と居住者期間で生じたものの合計額に基づいて控除額を計算する。
        • (2)医療費控除 : 居住者期間に支払った金額に基づいて控除額を計算する。
        • (3)社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除 : :(2)と同じ
        • (4)生命保険料控除・地震保険料控除 : (2)と同じ
        • (5)寄附金控除 : 非居住者期間と居住者期間に支払ったものの合計額に基づいて控除額を計算する。
        • (6)基礎控除 : 非居住者と居住者で取扱いに違いはない。
        • (7)基礎控除以外の人的控除 : 年末時点の現況で判断するため、居住者の取扱いと同じ。
        • 居住者期間に支払った金額に基づいて控除額を計算する。 医療費控除
          社会保険料控除
          生命保険料控除
          居住者の取扱いと同じ
          非居住者期間と居住者期間で生じたものの合計額に基づいて控除額を計算
          雑損控除
          寄附金控除
          基礎控除
          基礎控除以外の人的控除

  • 期限後申告のデメリット

    • 65万円の青色申告特別控除の適用
      • 複式簿記の方法で記帳し、貸借対照表を示付して申告しても、65万円の青色申告特別控除の適用がなくなり、10万円の適用となる。
    • 延滞税および無申告加算税
      • 期限内に申告書の提出がなかったものとされ、無申告扱いとなり、納付すべき税額のほかに延滞税および無申告加算税が課される。
    • 延納の制度
      • 税額の1/2未満の納付を延長する制度である延納の制度は利用できず、さらに申告書を提出した日が納期限となるので、提出日に税金を納める必要があり、申告期限の約1ヵ月後に口座引き落としとなる振替納税の制度も利用できない。
    • 以下は、期限後申告でも適用される。
      • 各種所得の損益通算は、期限内申告をその要件としていない。

  • 個人事業の開業に関する届出
    届出の種類 提出期限
    青色申告承認申請書

    (所得税法第144条)
    • 「所得税の青色申告承認申請書」は、原則としてその承認を受けようとする年の3月15日までに提出する。
    • ただし、その年の1月16日以後に新たに開業した場合には、その業務を開始した日から2ヵ月以内に提出しなければならない。
    青色事業専従者給与に関する届出書
    (同法第57条第2項、同法施行規則第36条の4第3項)
    • その年分以後の各年分の青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする青色申告者は、「青色事業専従者給与に関する届出書」をその年の3月15日までに提出しなければならない(同法第57条第2項)。
    • ただし、その年の1月16日以後に開業した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には、その開業の日や、専従者がいることとなった日から2ヵ月以内に提出しなければならない。
    減価償却の償却方法

    (同法施行令第123条)
    減価償却の償却方法については、新たに事業を開始した場合、「減価償却資産の償却方法の届出書」を確定申告書の提出期限までに提出しなければならない。
    消費税課税事業者選択届出書
    (消費税法第9条第4項)
    • 「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、その届出書を提出した課税期間(「課税期間の短縮の特例」の適用がない場合、個人事業者は暦年、法人は事業年度)の翌課税期間から生じる。
      • 事業を開始した日の属する課税期間については、その課税期間中に提出すれば設立の日の属する課税期間から課税事業者になることができる(同法第9条第4項)。
    • 新規開業した事業者等は、基準期間が存在しないため、設立1期目および2期目は原則として消費税の免税事業者となる(消費税法第12条の2)。
      ただし、免税事業者は、仕入れ等にかかった消費税額の控除が認められないので、還付を受けることはできない。
      還付を受けようとする場合は、課税事業者となるために「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要がある。
      • 新規開業した事業者等は、その開業した課税期間の末日までにこの届出書を提出すれば、開業した日の属する課税期間から課税事業者を選択することができる 。
    源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

    (同法第217条)
    • 給与について源泉徴収した所得税は、原則としてその徴収月の翌月10日までに納付しなければならない(所得税法第183条)。
      • 給与の支給人員が常時10人未満である源泉徴収義務者については、納付手続きを簡単にするために、給与等より源泉徴収した所得税を年2回にまとめて納付する納期の特例の制度が設けられている(同法第216条)。
      • 納期の特例の適用を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受けることが必要である。
        • 税務署長の承認を受けた場合には、1月から6月までに源泉徴収した所得脱ば7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税は翌年1月20日が納付の期限になる(同法第216条、第217条)
      • この承認を受けた場合、申請月の翌々月の納付分からこの特例が適用される。
  • 法人設立時の届出等
    届出の種類 提出期限
    青色申告の承認申請書
    • 所得税と同様に法人税にも青色申告制度が設けられており、新設法人が青色申告制度の適用を受けようとする場合には、個人事業で青色申告を行っていた場合であっても「青色申告の承認申請書」を提出しなければならない(法人税法第122条第1項)。
    • 「青色申告の承認申請書」の提出期限は適用を受けようとする事業年度開始の日の前日が原則であるが、設立事業年度については、設立の日以後3ヵ月を経過した日と設立事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日までとされている(同法第122条第2項第1号)。
    給与
    • 役員に支給する定期同額給与については、税務署長への届出は不要である。
    • 法人税には、所得税のように「親族に支払った費用を経費として認めない」という規定が存在せず、これに対する特例である「青色事業専従者給与」のような制度は設けられていない。そのため、生計を一にする配偶者に支給した給与を損金に算入するために届出書等を提出する必要はない。
    減価償却の償却方法 法人が取得した備品の法定償却方法は定率法である。従って、法人においては定率法の適用を受けるために届出書等を提出する必要はない(法人税法施行令第53条)
個人住民税
  • 個人住民税の取扱い

    • 個人住民税の税額控除
      • 個人住民税の人的控除額は、1人33万円がベースになっている(所得税の人的控除と異なる)。 所得税の「所得控除額」と、住民税(所得割)の「税額控除額」の違い一覧表
        控除項目     控除額
        所得税の「所得控除額」  住民税の「税額控除額」
        医療費控除、社会保険料控除、雑損控除、小規模企業共済等掛金控除 同じ




            



        基礎控除  38万円  33万円
        配偶者控除 一般の控除対象配偶者 38万円 33万円
        老人控除対象配偶者  48万円 38万円
        一般の控除対象扶養親族 38万円 33万円
        特定扶養親族 63万円 45万円
        老人扶養親族 同居老親等以外 48万円 38万円
        同居老親等 58万円 45万円
        障害者控除(普通)、寡婦控除(一般)、寡夫控除、勤労学生控除 27万円 26万円
        地震保険料控除(限度額) 5万円 2万5,000円
        生命保険料控除(限度額) 12万円 7万円
        特定寄付金(国や地方公共団体、公共法人などへの寄付金) 寄付額(所得金額×40%が限度)−2千円 なし

    • 個人住民税の非課税限度額=35万円
      • 東京都内で扶養家族のいない人がパートをして、100万円の給与をもらっている例
        • 1,000,000−(給与所得控除)650,000−(住民税の非課税限度額)350,000= 0 (住民税非課税)
      • 東京都内で扶養家族のいない人がパートをして、102万円の給与をもらっている例
        • 1,020,000−(給与所得控除)650,000−(住民税の非課税限度額)350,000= 20,000 (住民税課税)

          東京都内で扶養家族のいない人がパートをして102万円の給与をもらった場合、
          • 所得税は免除される。
          • 住民税は課税対象となる。
    • 市町村民税の納期
      • 普通徴収の方法によって徴収する市町村民税の納期は、6月、8月、10月および翌年の1月中(納付額が一定額以下の場合は6月中)において定める。ただし、特別の事情がある場合においては、これと異なる納期を定めることができる(地方税法第320条)。
      • 市町村が個人の市町村民税を徴収する場合においては、道府県民税を併せて徴収する(同法第319条)。

    • 賦課期日、納付先
      • 個人住民税の所得割は、賦課期日において住所を有する個人に対して課される(同法第24条第1項第1号、第294条第1項第1号)。
        • 賦課期日における住所地の市町村に納付する。
        • 賦課期日はその年度の初日の属する年の1月1日である(同法第39条、第318条)。
          • 個人住民税の所得割は前年課税を採用していることから、例えば、平成25年の所得は平成26年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日)に課税されることになり、平成26年度の賦課期日は平成26年1月1日となる。
            • 平成25年の中途で死亡した場合は、平成25年中に所得があっても賦課期日である平成26年1月1日における住所がないため、平成26年度の住民税は課されず申告も不要となる。
    • 住民税の申告
      • 前年分の所得税につき確定申告書を提出|した場合には、その確定申告書が提出された日に個人住民税の均等割および所得割に係る申告書が提出されたものとみなされる(同法第45条の3、第317条の3)。
「個人事業者の所得税」と、「法人税」の差異
  • 「個人事業者の所得税」と、「法人税」の差異

    個人事業者の所得税 法人税
    欠損金の繰越 個人の純損失は、最長でも翌年以降3年しか繰り越すことができない(所得税法第70条) 法人の欠損金は翌年以降最長9年間繰り越すことができる(法人税法第57条)
    平成29年4月1日以後開始事業年度から、欠損金の繰越期間が10年となることが予定されている。
    交際費 個人の交際費に関しては法人のような経費算入の制限規定(租税特別措置法第61条の4)はない。 交際費等の損金算入
    減価償却費 所得税の減価償却費は、「減価償却資産につきその償却費として必要経費に算入する金額は、その者がその資産について選定した償却方法「選定しない場合は法定償却方法)に基づき計算した金額」と規定(所得税法第49条)されており、納税者が任意に必要経費から除外することはできない。 法人税の減価償却費は、「法人がその事業年度において償却費として損金経理をした金額のうち、償却限度額に達するまでの金額」と規定(法人税法第31条)されており、償却費を損金経理するか否かは法人税に関する法令上強制されていない。
    役員に支給する給与 所得税では個人事業主に給与や賞与を支給して必要経費に算入することはできない。 法人が役員に対して支給する給与については、定期同額給与、事前確定届出給与または利益連動給与のいずれかに該当すれば、法人税の計算上損金の額に算入される(法人税法第34条)
個人事業税
  • 個人事業税の計算

    • 個人事業税は、事業税の課税対象となる一定事業(法定業種)について算出された前年の所得を課税標準とし、事業主控除等を差し引いた金額に対して、事業の種類ごとに定められた税率を乗じて税額を算出する。
      • 第一種事業の税率=5%
      • 控除額
        • 事業主控除
          • 控除額=年間290万円
          • 事業を行った期間が1年に満たないときは、月割計算で控除額を計算する。
        • 青色事業専従者給与額は控除されるが、青色申告特別控除額の控除は認められない。
          • 個人事業税には青色申告特別控除の適用はないので、所得金額に加算する。
        • 繰越控除
          • 損失の繰越控除
            • 青色申告者は事業の所得が赤字のときは、翌年以降3年以内の事業所得からその損失額を差引くことができる。
            • 被災事業用資産の損失の繰越控除
              • 白色申告者で、震災、風水害、火災などで生じた事業用資産の損失の金額がある場合、翌年以降3年間、繰越控除ができる。
            • 譲渡損失の控除と繰越控除
              • 直接事業の用に供する資産(機械、装置、車両等。ただし、土地、家屋等を除く。)を譲渡したために生じた損失額は、事業の所得の計算上、控除が可能。
                • 青色申告をした者は、翌年以降3年間、繰越控除ができる。
          • これらの控除を受けるには、原則として、所得税、住民税、事業税のいずれかの申告を一定の期限内に毎年行っていることが必要。
法人税
役員と法人の取引
  • 役員等に対する経済的利益の供与

    • 法人が役員等に対し経済的な利益の供与をした場合
      • 法人が役員等に対し経済的な利益の供与をした場合、それが所得税法上経済的な利益として課税されないものであり、かつ、当該法人がその役員等に対する給与として経理しなかったときは、給与として取り扱わないものとする(法人税基本通達9-2-10)。
    • 海外渡航費
      • 海外渡航費は、その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人経理を認める。
        • 法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費の額はもちろん、法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であっても、その旅費の額のうち通常必要と詰められる金額を超える部分の金額については、原則として、役員等に対する給与とする(同基本通達9-7-6)。
    • 渡切り交際費
      • 渡切り交際費は、自由に使える金銭を支給するのと変わりはなく、法人が「支給された者が実際に何に対していくら使ったか」を把握しているものではない。
        法人の業務のために使用したことが明らかではないため、給与の性質を有するものとみなされ、支給された者に対する給与として取り扱う(租税特別措置法関係通達61の4(1)-12)。
    • 罰金等を負担した場合
      • 法人がその役員等に対して課された罰金、科料、過料、交通反則金を負担した場合、
        • その罰金等が法人の業務の遂行に関連してされた行為等に対して課されたものであるときは、法人の損金の額に算入しないものとし、
        • その他のものであるときは、その役員等に対する給与とする(法人税基本通達9-5-8)。

  • 役員から法人への資産の低額譲渡

    • 役員が法人に対し資産を贈与または著しく低い価額(時価の2分の1未満の価額)で譲渡した場合は、譲渡時の時価をもって譲渡所得の収入金額とする(所得税法第59条、同法施行令第169条)。
      • 個人に対する譲渡 は、譲渡価格=譲渡所得の収入金額
    • 資産の譲渡を受けた法人(買い手)の取得価額は時価となり(低額譲渡でなくても)、時価と売買価格の差額は、受贈益になる。

法人の青色申告に係る欠損金の繰越控除
  • 各事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度に生じた青色欠損金は、当期の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる。

    • 従来は7年間の繰越しであったが、平成23年度税制改正により、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた青色欠損金は9年間の繰越控除ができることとなった。
      それより前のものは7年間の繰越しとなる。
    • 平成24年4月1日以降開始する事業年度より、中小法人等(資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの等の一定の法人)以外の法人の青色欠損金の繰越控除制度における控除限度額は、繰越控除をする事業年度の控除前所得の金額の100分の80相当額に制限される。
消費税
  • 消費税の課税事業者または免税事業者の判定

    • 個人事業者又は法人のその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務が免除される。

      • 基準期間とは、個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度のことをいう。
        • 前々事業年度が1年未満の場合には、事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)。
          したがって、新たに開業した個人事業者又は新たに設立された法人のように、その課税期間について基準期間における課税売上高がない場合又は基準期間がない場合には、原則として納税義務が免除されるが、次のような場合には免除されない。

          1. 相続によって相続人が被相続人の事業を承継した年において、基準期間となる前々年の被相続人の課税売上高が1,000万円を超えている場合 。
          2. 相続によって相続人が被相続人の事業を承継した年の翌年及び翌々年において、被相続人のその基準期間の課税売上高と相続人のその基準期間の課税売上高の合計額が1,000万円を超える場合。
          3. 合併によって新たに設立された法人(合併法人)のその合併があった日の事業年度で、その基準期間に対応する期間における各被合併法人の課税売上高として計算した金額のいずれかが1,000万円を超えている場合。
          4. 分割等によって新たに設立した法人(新設分割子法人)のその分割があった日の事業年度で、その基準期間に対応する期間における各新設分割親法人の課税売上高として計算した金額のいずれかが1,000万円を超える場合。
          5. その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人。
    • 平成23年度税制改正により、免税事業者の要件の見直しが行われ、平成25年1月1日以後の開始する年より適用されることとなった。

      • 個人事業者の基準期間における課税売上高が1,000万円以下である場合、その年の特定期間における課税売上高が1、000万円を超えるときは、その年については事業者免視点制度の適用はなくなる。
        • 個人事業者の「特定期間」とは、その年の前年1月1日から6月30日までの6ヶ月間をいう。
      • 事業者の事務負担に配慮する観点から、特定期間中に支払った給与等の合計額をもって、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるか否かを判定することができることとされている。

        いずれの基準で判定するかは納税者の任意である。
  • 免税事業者(課税売上高、給与等支払額の合計額、いずれも1,000万円以下)が課税事業者となるためには、

    • 免税事業者が課税事業者となるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければならない。
      • 届出書を提出した課税期間の翌課税期問から課税事業者になる(消費税法第9条)。
        (届出書の提出日が事業開始日の属する課税期間等である場合を除く)、
    • 消費税の還付を受けようとするなら、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出してはいけない。
      • 簡易課税制度は、「課税仕入等に係る消費税額」=「課税売上に係る消費税額」×「みなし仕入率」とする簡便計算であり、簡易課税制度の適用を受ける場合には、原則として還付を受けることはできなくなる(同法第37条)。消費税の還付を受けようとするなら、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出してはいけない。
    • 固定資産を購入した課税期間の消費税
      • 建物等の固定資産は支出金額が大きく取得時に支払う消費税も多額のため固定資産を購入した課税期間においては、引ききれなかった消費税が還付されることが多い。
        • 免税事業者が消費税の還付を受けるためにあえて課税事業者を選択することができるが、住宅家賃しかない事業者の場合、住宅家賃は全て非課税売上となり、非課税売上に対応する課税仕入(建物等購入)分の消費税が控除できないため、消費税の還付を受けることはできない。

  • 課税売上割合が95%未満の場合

    • 課税事業者が納付する消費税の額は、その課税期間における課税売上に係る消費税額から、課税仕入に係る消費税額を控除した金額である。
      しかし、課税売上割合が95%未満である場合には、課税仕入に係る消費税額を全額控除することができない。
      • この場合、「個別対応方式」または一括比例配分方式」により控除対象仕入税額を計算する。
        • 一括比例配分方式
          • 仕入控除税額=「課税仕入れ等に係る消費税額」×「課税売上割合」
          • 一括比例配分方式を選択した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできない。
個人事業者の青色申告
  • 「青色申告承認申請書」の提出

    • 青色申告承認申請書は、原則としてその承認を受けようとする年の3月15日までに提出する。
      ただし、その年の1月16日以後に新たに開業した場合には、業務開始日から2ヵ月以内に提出しなければならない(所得税法第144条)。。
    • 所得税の青色申告承認申請手続
  • 青色申告承認申請書を提出することができる人
    • 青色申告の対象者は、「不動産所得」、「事業所得」、「山林所得」(頭文字を取って「ふじさん(富士山)」と呼ばれている)を得る事業者(非居住者の場合は、国内業務のみ対象)。
      • サラリーマンやパートなどの給与所得者、学生、年金受給者などであっても「事業所得」、「不動産所得」、「山林所得」があれば、対象となる。
    • 青色申告者となるには、複式簿記による帳簿書類、または簡易帳簿を作成することが条件(義務)となる。
  • 個人事業の青色申告のメリット

    • 青色申告特別控除
      • 青色申告特別控除は、不動産所得・事業所得・山林所得の金額から10万円または65万円を控除できる制度である。
        • 複式簿記による記帳であれば、65万円(平成17年度〜)の所得税の控除(青色申告特別控除)
        • 簡易帳簿なら10万円の控除のみ
      • 年の途中で開業した場合であっても10万円または65万円が控除される。
    • 青色事業専従者給与控除
      • 不動産所得、事業所得または山林所得を生すべき事業を営む青色申告者が、青色事業専従者給与に関する届出書に記載した方法に従って、その記載されている金額の範囲内で、青色事業専従者に給与の支払いをした場合には、その労務に従事した期間、労務の性質およびその提供の程度などから見て、その労務の対価として相当であると認められる金額を、その青色申告者の事業から生じた不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の計算上、必要経費に算入し、必要経費に算入した青色事業専従者給与の金額は、その青色事業専従者の給与所得の収入金額とされる(同法第57条第1項、同法施行令第164条第1項)。
      • 青色事業専従者の要件
        • 青色事業専従者とは、次のいずれにも該当する者をいう。 
          • @青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
            • 同じ生計の 配偶者(夫婦)、 親族(祖父母、子など)。
          • Aその年の12月31日において年齢が15歳以上であること
          • Bその年を通じて6月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること
            • なお、年の中途の開業、事業に従事する親族の長期の病気等により、その年を通じて事業者の事業に従事することができなかった場合には、従事することができる期間の2分の1を超える期間専ら従事すれば足りる。
      • 青色事業専従者給与に関する届出書
        • 原則としてその承認を受けようとする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することにより、青色申告者と生計を一にする親族へ支給する給与であっても労務の対価として適正な金額であれば、必要経費に算入することができる。
          • 青色申告の届出とは別個に届け出る必要がある。
          • その年の1月16日以後に業務を開始した場合、またはその年の1月16日以降新たに専従者がいることとなった場合は、その業務を開始した日または専従者を有した日から2ヵ月以内に提出しなければならない(同法第57条)。
    • 事業損失の3年間繰越控除
      • 純損失の金額(損益通算してもなお控除しきれなかった金額)を、その損失発生年の翌年以降3年間にわたり繰り越すことができる(同法第70条)。
        • 純損失の金額の計算
          • 純損失の金額とは、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額の計算上生じた損失金額のうち、損益通算をしてもなお控除しきれない部分の金額をいう。(所得税法第2条第1項第25号、第70条)。
        • 前年も青色申告をしている場合で、本年度に赤字が出た場合は、本年度の損失額を前年の所得金額から差し引いて「前年分の所得税の還付」を受けることも可能。
      繰越控除(控除を受けるには、原則として、所得税、住民税、事業税のいずれかの申告を一定の期限内に毎年行っていることが必要)
      • (ア)損失の繰越控除
        • 青色申告者で、事業の所得が赤字(損失)となったときは、翌年以降3年間、繰越控除ができる。
      • (イ)被災事業用資産の損失の繰越控除
        • 白色申告者
          • 白色申告者でも、「変動所得」や「被災事業用資産」の損失に限っては、損失を繰り越すことが認められる。
            • 変動所得というのは、原稿料や著作権使用料のほか、漁業やのりなどの養殖など、その年によって大きく変動する可能性がある所得のこと。
            • 被災事業用資産の損失というのは、災害(震災、風水害、火災など)によって、棚卸資産や事業に使っている固定資産が被害を受けた場合の損失のことを指す。
              白色申告者で、被災事業用資産の損失があるときは、翌年以降3年間、繰越控除ができる。
      • (ウ)譲渡損失の控除と繰越控除
        • 直接事業の用に供する資産(機械、装置、車両等。ただし、土地、家屋等を除く。)を譲渡したために生じた損失額については、事業の所得の計算上、控除することができる。
        • 青色申告者は、翌年以降3年間、繰越控除ができる。

    • 貸倒引当金の設定
      • 貸倒引当金を設定することができる。
損金算入(必要経費)、不算入の経理、税務取扱
役員給与
  • 定期同額給与

    • 法人が役員に対して支給する給与については、原則として定期同額給与、事前確定届出給与または利益連動給与のいずれにも該当しないものは損金の額に算入されない。

      • 定期同額給与とは、次の@からBまでのいずれかに該当する給与と定義されている。

        • @その支給時期が1ヵ月以下の一定の期間ごとである給与(定期給与)で、その事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの
        • A定期給与の額につき、次のイからハの改定がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
          • イ その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3ヵ月を経過する日までに継続して毎年所定の時期にされる定期給与の額の改定
          • ロ その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(臨時改定事由)によりされたその役員に係る定期給与の額の改定(イに掲げる改定を除く)
          • ハ その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改定事由)によりされた定期給与の額の改定(その定期給与の額を減額した改定に限られる。イおよびロに掲げる改定を除く)
        • B継続的に供与される経済的利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるもの
        • Aイで、定期給与の額の改定を行った(A)後、減額改定をした(B)場合は、(A)−(B)を上乗せして支給していたものと考える((法人税法第34条、同法施行令第69条、国税庁「役員給与に関するQ&A」のQ4)。
  • 役員の臨時的給与の損金不算入

    • 役員の海外渡航費のうち、業務遂行上必要であり、かつ、渡航のため通常必要と認められる部分の金額は旅費として法人経理が認められるが、この部分の金額を超える金額については、役員賞与に該当する(法人税基本通達9-7-6)。
    • 役員に対して支払った臨時的な渡切り交際費で、実質的に給与と認められるものは、事前確定届出をしていない場合には役員賞与に該当する。
    • 役員の個人的なゴルフのプレー代は、役員賞与に該当する。

固定資産の経理、税務取扱
  • 不動産の取得価額

    • 建物の取得価額

      • 建物の取得価額には、建設業者へ支払う建物の請賃金額の他に、その建物を業務の用に供するために直接要した費用の額も合まれる(所得税法施行令第126条)。
        • 業務の用に供される建物に係る登録免許税、不動産取得税および登記費用等(司法書士報酬など)は、その全額がその年分の必要経費となる(同基本通達37-5、49-3)。
  • 減価償却

    • 中古資産の耐用年数

      • 中古資産を取得した揚合は、法定耐用年数そのままではなく、取得後の使用可能年数を合理的に見積もって耐用年数とする。
      • 簡便法
        • 耐用年数の見積もりが困難な場合は、次の算式で計算した年数(2年未満となるときは2年としその年数に1年未満の端数があるときは端数は切り捨てる)を耐用年数とする。

          • 法定耐用年数の全部を経過した資産
            • 法定耐用年数×20%
          • 法定耐用年数の一部を経過した資産
            • (法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%
              (例)
              • 法定耐用年数=6年
                経過年数=2年3ヵ月 の場合
              • (72ヵ月−27ヵ月)+27ヶ月×0.2=50.4ヶ月
                =4年+2.4ヶ月
                → 4年(1年未満の端数切り捨て)
    • 所得税法上、建物を除く有形減価償却資産には、定額法と定率法のいずれかの償却方法を選択できるが、償却方法の届出をしなかった場合の法定償却方法は定額法となる。

  • 事業用固定資産の資産損失

    • 事業所得、事業的規模の不動産所得に係る事業の用に供している固定資産等を取り壊したこと等による損失(資産損失)は、その損失の生じた年分の事業所得の金額や不動産所得の金額の計算上、その全額を必要経費に算入することができる。
    • 事業的規模ではない不動産所得の場合は、その資産損失を必要経費に算入する前の不動産所得の金額を限度として、必要経費に算入する(所得税法第51条)。
    • 資産損失
      • 事業用の減価償却資産については、「資産の取得価額(設備費・改良費を合む)−必要経費に算入された償却費の累積額−取壊しによる廃材等の処分額」により計算された金額である(同法施行者第142条、同基本通達51-2)。
  • アパート建築や駐車場設置に伴う居宅の取り壊し費用の税務上(所得税)の取り扱い(所得税法第45条第一項)

    • 住まいとしている家屋の取り壊し費用等は、「その資産を業務の用に供するために直接要した費用の額」には当らず、単なる家事上の費用となり、不動産所得の必要経費や減価償却資産の取得価額とすることはできない。
    • 被相続人が居住していた建物を新たな事業をするために取壊した場合、その撤去費用は、「家事上の経費」に該当し必要経費に算入できない。
  • 賃貸用建物の地震保険料

    • 賃貸マンションに対して地震保険を掛けている場合、その保険料は不動産所得の必要経費に算入することができる。
    • 地震保険料控除の対象にはならない。
      • 地震保険料控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者またはその他の親族の居住の用に供する建物に対して掛けているものしか対象とならない。

  • 立退料
    • 賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料は、譲渡に要した費用として譲渡所得の金額の計算上控除される。
      • 不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料は、不動産所得の金額の計算上必要経費になる。
    • 土地、建物等を取得する際に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料は、建物等の取得費又は取得価額になる。
    • 敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料は、通常、借地権の買い戻しの対価となるので土地の取得費にななる。

生命保険料の経理(税務取扱)

交際費等の損金算入
  • 交際費等とは、法人の得意先、仕入先、その他事業関係者(間接的な利害関係者および当該法人の役員、従業員、株主等を含む)に対する接待、供応、慰安、贈答などをするために支出する費用をいう(租税特別措置法第61条の4第3項)。

    • 交際費等は原則として損金不算入となるが、資本金1億円以下の中小去人は、平成26年4月1日以後開始事業年度から、次のいずれか有利な方を選択できる。

      1. 得意先等との飲食費の50%相当額を損金算入。
      2. 中小法人の、年800万円までの交際費損金算入枠の特例。
    • 「交際費」の例
      • 取引先の役員をゴルフや観光旅行に招待した費用は、交際費等に該当する(同法関係通達61の4(1)−4)。
      • 物品を交付するために要する費用
        • 一般消費者を対象として交付した景品の費用は、広告宣伝費として損金に算入することができる(租税特別措置法関係通達61の4(1)-9)。
        • 法人が、得意先に対して物品を交付する場合、購入単価がおおむね3,000円以下(少額物品)であり、かつ、その交付の基準が売上割戻し等の算定基準と同一であるときは、その物品を交付するために要する費用は交際費等には該当しない。
        • 取引先への中元・歳暮の贈答費用は、購入単価3千円以下でも、交際費に該当する。少額物品が除外されるのは、売上割戻や得意先に対する景品費のみとなる(租税特別措置法関係通達61の4(1)-4、-5)
      • 新製品、季節商品等の展示会等に得意先を招待する場合や、自社製品の商品知識の普及のため、得意先に製造工場を見学させる場合の交通費、食事代、宿泊のために通常要する費用は、交際費に該当しない(同法関係通達61の4(1)-17)。
      • 取引先との商談、打合せ等に際しての飲食費は、1入当たり5千円以下が交際費等の範囲から除外される。この規定は所定の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用される(同法第61条の4第4項)。
    • 役員等に対する経済的利益の供与

貸倒損失
  • 貸倒損失の損金不算入
    • 貸倒損失は、
       □ 法律上の貸倒れ、
       □ 会計認識上の貸倒れ、
       □ 売掛債権の特例の3つに分けられる。

      法律上の貸倒れの場合には、賃金等が法律的に消滅し、回収不能の事実が明確であることから、法人の経理方法のいかんを問わず損金算入されるが、会計認識上の貸倒れ、売掛債権の特例の場合には法人が貸倒損失として損金経理した場合に初めて損金算入が認められる。
    1. 法的に債権が消滅した場合(法律上の貸倒れ)

      • 貸金等につき、取引先が会社更生法の決定、関係者(債権者集会等)の協議決定、書面による債務免除等により、法的に債権が消滅した場合、その消滅した金額を、その金額が決定した事業年度に貸倒損失として損金算入する。
      • 民事再生法の規定による再生計画認可の決定に基づく切捨て額は、法律上の貸倒れに該当し、裁判所の認可の決定(民事再生法第174条)が行われた日の属する事業年度において、貸倒れとして損金の額に算入される(法人税基本通達9-6-1)。

    2. 経済的に債権が消滅した場合

      1. 会計認識上の貸倒れ(回収不能の場合)

        債務者の資産状況、支払い能力からみて、金銭債権の全額の回収不能が明らかである場合には、損金経理を要件として、金銭債権の全額(担保物がある場合は、担保の金額を控除した金額)を貸倒損失として損金算入できる。
        ただし、金銭債権の一部だけを貸倒損失として損金とすることはできない(同基本通達9-6-2)。
      2. 売掛債権の特例(一定期間弁済のない場合等)

        売掛金等営業債権につき、最後の取引から1年以上経過したが、いまだその弁済がなされない場合等には、売掛債権の額から備忘価額を控除した金額の損金経理を要件として、貸倒損失として損金算入できる(同基本通達9-6-3)。

        一定期間弁済のない場合等の特例は、継続的取引先の売掛金等営業債権のみに限られ、単発の取引先や貸付債権は含まれない。

損金の額に算入されない租税公課
  • 損金の額に算入されない主な租税公課。

    1. 法人税、都道府県民税及び市町村民税の本税 (特別税は損金算入)
    2. 各種加算税及び各種加算金、延滞税及び延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除く)並びに過怠税
    3. 罰金及び科料(外国又は外国の地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む)並びに過料
    4. 法人税額から控除する所得税及び外国法人税

同―生計親族への支払いの取扱い
  • 不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業を営む者が、その事業者と生計を一にする配偶者その他の親族に給料、家賃、借入金の利子などを支払っても、その支払った金額を必要経費に算入することはできない。

    • 生計を一にする親族に地代家賃を支払っても、必要経費に算入するごとにできないが、その支払いを受けた親族にその収入を得るために要した費用がある場合には、、その金額を事業所得の必要経費に算入する(所得税法第56条)。
      • 親族の資産を事業の用に供していれば、その資産に係る減価償却費や固定資産税については、必要経費に算入することができる。
        • この場合、その親族が支払いを受けた対価は、各種所得の金額の計算上ないものとみなす(所得税法第56条)。
      • 事業者と生計を一にする配偶者その他の親族の有する家屋を無償でその事業者が事業の用に供している場合であっても、その家屋に係る固定資産税等をその事業者の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができる(同基本通達56-1)。

  • 事業専従者である同一生計親族に対して支払う給与(専従者給与)

    納税者と生計を一にしている配偶者その他の親族が、納税者の経営する事業に従事している場合、納税者がこれらの人(事業専従者)に給与を支払うことがある。
    これらの給与は原則として必要経費にはならない(所得税法第56条)が、次のような特別の取扱いが認められている。
    • 【事業専従者】
      青色申告、白色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、年間6か月以上その事業にもっぱら従事している人。

    1. 白色申告者の場合
      家族従業員の数、配偶者かその他の親族かの別、所得金額に応じて計算される金額を必要経費とみなす「事業専従者控除の特例」 (下表)
    2. 青色申告者の場合
      一定の要件の下に実際に支払った給与の額を必要経費とする「青色事業専従者給与の特例」(下表)
  • 摘要 必要経費とみなし、かつ、事業専従者の給与とみなす額・要件
    白色
    申告者
    「事業専従者控除額」は、次の@Aいずれか低い方の金額

    • @配偶者である親族86万円、その他の親族50万円
    • A事業専従者控除前の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額/1+事業専従者の数

    白色事業専従者控除を受けるための要件

    • (1).白色申告者の営む、不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業にもっぱら従事する者(事業専従者)がいること。
      • 事業専従者とは、次の要件のすべてに該当する人をいう。
        • イ.白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
        • ロ.その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
        • ハ.その年を通じて6ヵ月を超える期間、その白色申告者の営む事業に専ら従事していること。
    • (2).確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載すること(同法第57条)。
    青色
    申告者
    「青色事業専従者給与」として認められる要件

    • (1).青色事業専従者に支払われた給与であること。
      • 青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいう。
        • イ.青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
        • ロ.その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
        • ハ.その年を通じて6ヵ月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。
          • (一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、
    • (2).「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。
      • 青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載する。
    • (3).届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであること。
      • 賞与は勤務時間に対する直接的な対価ではないが、
      • 一定期間の勤務に対する業務成績等の総括的に判断された労務の対価であることから、必要経費として認められる。
    • (4).青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であること。
    • 「事業専従者控除の特例」 、「青色事業専従者給与の特例」を適用した給与は、事業に係る所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき金額とみなしかつ、その事業専従者の給与所得の収入金額とみなす。
    • 事業専従者控除の規定の適用を受けた同―生計の親族については、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除の適用はない(同法第57条第3項)。
  • 青色事業専従者に対する退職金

    • 個人事業主の事業所得の計算上、青色事業専従者に支給した退職金は必要経費に算入することができない。
      • 青色専従者給与(所法56、57)については、所得税法57条1項において「当該年分の給与所得に係る収入金額とする」とされており、退職所得とする余地がないと解されている。
        (平12.3.7裁決・大裁(所)平11-79)。

事業的規模による取扱いの差異
  • 資産損失の必要経費算入
    • 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業用の固定資産その他これに準ずる資産を、取りこわし、除却、滅失(損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金等により補てんされる金額及び資産の譲渡等により生じたものを除く。)は、損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
    • 事業的規模でない場合には、その資産損失を必要経費に算入する前の所得の金額を限度として、必要経費に算入する(所得税法第51条)。
  • 事業専従者に支給する給与
    • 事業的規模でない場合には、必要経費に算入できない。
    • 白色申告の「事業専従者控除」についても、事業的規模でない場合には、適用を受けることができない(同法第57条)。
  • 青色申告特別控除
    • 不動産所得について最大65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、他に所得を有する場合を除き、その不動産の貸付けが事業的規模でなければならない。
      • ただし、事業的規模でなくても、青色申告であれば最大10万円の青色申告特別控除の適用を受けることができる(租税特別措置法第25条の2)。
  • 不動産所得の損益通算
    • 損益通算は、所得の事業的規模および青色申告か白色申告かを問わず適用を受けることができる(所得税法第69条)。
非課税所得
  • 非課税所得
    • 所得税は、原則としてすべての所得に対して課税されるが、社会政策や課税技術の観点から、特定所得については課税されない。この課税されない所得を非課税所得という。
      • 非課税所得は、確定申告の必要がない。
    • 非課税の具体例
      • 時価30万円以下の宝石は、生活に通常必要な資産に該当するため、その譲渡益は非課税となる。譲渡損はなかったものとみなす(所得税法施行令第25条)
      • 勤務先で加入している健康保険組合から支給される出産育児一時金については、所得税は非課税である(健康保険法第62条)。
      • 雇用保険から支給される育児休業給付金については、所得税は非課税である(雇用保険法第12条)。
      • 死亡した人の勤務に基づいて支給される退職金で死亡後3年以内に支給が確定したものは、所得税は課税されず相続税が課税される(所得税基本通達9-17、所得税法第9条第16項)。
利子所得
  • 外貨預金の利子と為替差損益

    • 国内の銀行に預け入れた外貨定期預金の利息は、「利子所得」に該当し、源泉分離課税される。
      • 外貨定期預金の利息 国内で支払われるもの 利子所得・源泉分離課税
        国外で支払われるもの 利子所得・総合課税
        同一年中に、為替差益と為替差損が生じた場合 内部通算し、為替差益の方が大きい場合 雑所得として総合課税
        内部通算し、為替差損の方が大きい場合 他の所得と損益通算することはできず、損失は生じなかったものとみなされる
        預入時に為替予約があるもの 雑所得・源泉分離課税

  • 金融類似商品

    • 金融類似商品とは、税法上はその果実(期間収益)等が、利子所得以外に分類されているものの、実質的にあるいは経済的には利子とみなせるような商品のこと。
      • 「終身保険」は、金融類似商品に該当しない。
    • 金融類似商品の収益については、一律20%(所得税15%、地方税5%)の税率による源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了する。
  • 「公社債投資信託」の収益分配金に係る税金

    • 国内公募公社債投資信託(長期公社債投信、中期国債ファンド、MMF、MRF等)の収益分配金は、税法上「利子所得」とされる。
      • 2015年(平成27年)12月31日までは源泉分離課税の対象。
      • 2016年(平成28年)1月1日以降は申告分離課税の対象となるが、個人の場合、一律20%(所得税15%、住民税5%、別途復興特別所得税)が源泉徴収され、確定申告は不要。
      • 公社債投資信託は、預貯金と同様に、すべてマル優適格商品であり、マル優制度または財形年金貯蓄の非課税制度などの適用を受けることができる。
配当所得
  • 配当所得

    • 配当所得とは、
      • 法人から受ける剰余金の配当(株式または出資に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うものによるものをく)、
      • 利益の配当、剰余金の分配(出資に係るものに限る)、
      • 基金利息ならびに投資信託(公社債投資信託および公募公社債等運用投資信託を除く)
      • および、特定受益証券発行信託の収益の分配に係る所得をいう(所得税法第24条第1項)。
  • 配当控除

    • 配当所得があるときには一定の金額の税額控除を受けることができ、これを配当控除という(同法第92条)。

      • 配当控除を受けるためには確定申告が必要である。
        • 配当控除の割合は、「課税総所得金額等」が1、000万円以下の場合は10%、1、000万円超の場合はその「超過部分の配当所得」については5%となる。
      • 申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得については、配当控除の適用を受けるごとにできない(租税特別措置法第8条の4第1項)。
  • 配当所得の課税関係

    • 区分 摘要
      上場株式等の配当等(大口株主等(※1)が支払いを受けるもの)、所得税:20%(別途復興税あり、以下同じ) 総合課税
      非上場株式等の配当等 源泉徴収税率
      • 所得税:20%
      • 住民税:0%
      1回の支払額が10万円を超える
      1回の支払額が10万円以下(※2、少額配当) 「確定申告不要制度」選択可
      上場株式等の配当等(上記※1を除く)(※3 総合課税又は申告分離課税
      • 源泉徴収税率
        • 所得税:15%
        • 住民税:5%
      公募株式等証券投資信託の収益の分配
      特定投資法人の投資口の配当等
        • ※1)持ち株割合3%以上の上場株式等
        • ※2)少額配当等に限り申告不要
          • 内国法人(日本で設立され、本店が日本にある法人)から支払いを受ける配当等で、1回に支払いを受けるべき金額が、「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下のもの」
        • ※3)内国法人から支払いを受ける上場株式等の配当等のうち、大口株主等が支払いを受けるもの以外のもの(上限なしの申告不要)
        • 配当等で源泉徴収選択口座に受け入れたものは、上場株式等に係る譲渡所得等の赤字を確定申告する(損益通算する)場合には、この配当等も確定申告する。
不動産所得
  • 不動産所得の収入計上時期(所法36、所基通36-5〜7)

    1. 契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
    2. 支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
      ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日
    3. 賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日
      • 賃貸料の額に関する係争について供託された金額については、通常の家賃と同様に扱う(1.又は2.の日)
    4. 上記以外のもの
      • 家屋又は土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金
        • 貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日の収入に計上する。
        • 引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上する。
        • 名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものについても同様。
  • 不動産所得の必要経費

    • 使用貸借部分に係る固定資産税
      • 使用貸借部分に係る固定資産税は、必要経費に算入できない。
    • 空室部分の減価償却費
      • 空室について、通常の入居者募集を行い維持管理がなされていれば、空室部分の減価償却費も必要経費に算入できる(所得税基本通達2-16)。
    • 賃貸用不動産に係る地震保険料
      • 賃貸用不動産に係る地震保険料は、不動産所得の必要経費となり、原則として地震保険料控除の対象とはならない。
    • 賃貸用不動産の取得に要した借入金の利子
      • 賃貸用不動産の取得に要した借入金の利子のうち、土地の取得に係る部分の金額は、損益通算について制限が設けられているが、必要経費には算入できる。
    • 立退き料
      • 立退き料のうち、
        • 当該建物または敷地とされる土地を譲渡するために支出するものは譲渡費用
        • 不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退き料は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する(所得税法基本通達37-23)。
事業所得
給与所得
譲渡所得
譲渡所得の対象となる資産
  • 譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、特定の公社債、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)などが含まれる。
  • 貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれる。
  • 資産の譲渡による所得のうち、課税されないもの。
    • (1) 生活用動産の譲渡による所得
      • 家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得。
        • 貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税される。
    • (2) 強制換価手続により資産が競売などをされたことによる所得 。

譲渡した資産の種類別の課税方法
  • 譲渡資産の種類 譲渡所得の特別控除 課税方法
    土地(借地権等の土地の上に存する権利を含む)及び建物等 分離課税(土地建物等)
    株式等 短期所有土地の譲渡とみなされるもの 分離課税(土地建物等)
    ゴルフ会員権の譲渡に類似するもの ゴルフ会員権の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の
    合計額に対して50万円
    総合課税
    上記以外の株式等に係る譲渡 分離課税(株式等)
    上場カバードワラント(平成22年1月1日以後に譲渡するもの) 分離課税(先物取引等)
    店頭カバードワラント(平成24年1月1日以後に譲渡するもの)
    その他の資産 長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円。
    短期と長期があるときは、先に短期の譲渡益から50万円を差引く
    総合課税
    • 源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡所得等 (証券会社等に設定した源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡所得等に対する課税。)

      • 源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡益に適用される源泉所得税率と、確定申告の際に上場株式等の譲渡益に適用される申告分離課税の税率は同率になっているため、大部分のケースは確定申告をする必要はなく、源泉徴収だけで課税関係は完結する。

        • その口座内以外の株式等に係る譲渡損がある場合や、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得との損益通算をする場合、上場抹式等の譲渡による繰越損失がある場合など、確定申告が必要。
    • 総合課税の対象となる譲渡所得

      • 土地建物や株式等を売った場合を除き、資産を売ったときの譲渡所得は、給与所得や事業所得などの所得と合わせて総合課税の対象となる。
        この総合課税の譲渡所得は、取得したときから売ったときまでの所有期間によって長期と短期の二つに分かれれる。

        • 長期譲渡所得 所有期間が5年を超えている
          次の四つの場合は、所有期間が5年以内でも長期譲渡所得となる。

          • (1)自分が研究して取得した特許権や実用新案権などの工業所有権
          • (2)自分が著作した著作権
          • (3)自分で発見した鉱山などの採掘権
          • (4)自分の育成による育成者権
          短期譲渡所得 所有期間が5年以内

      • 生活用動産の譲渡

        • 生活用動産の譲渡による所得は所得税の非課税所得とされる。生活用動産とは、自己または配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、什器、衣服などをいう。
          1個または1組の価額が30万円を超える貴石、半貴石、貴金属、絵画、骨董および美術工芸品などについては生活に通常必要でない資産に該当しその譲渡による所得は課税される。

          資産の種類  課税 譲渡損失、赤字の損益通算
          生活用動産 自己または配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、什器、衣服など 非課税所得 できない
          生活に通常必要でない資産 1個の価額が30万円を超える貴石、貴金属、絵画、骨董、美術工芸品など 課税所得 他の所得との損益通算不可

譲渡に関する留意点等
  • 相続財産を譲渡した場合

    • 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
      • 相続や贈与によって取得した資産の取得費
        • 死亡した人や贈与した人がその土地建物を買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基に計算する。
        • 業務に使われていない土地建物を相続や贈与により取得した際に相続人や受贈者が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に含まれる。
      • 相続や贈与によって取得した資産の取得の時期
        • 取得の時期は、通常、売った土地建物を買い入れた日だが、相続や贈与で取得したときは、死亡した人や贈与した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれる。
    • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
      • 相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内(申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができる。
      • この特例は譲渡所得のみに適用がある特例で、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用できない。
    • 離婚による財産分与

      • 離婚により財産分与が行われた場合には、たとえ分与を行った側に金銭の収受がなくても、そのときの時価により資産の譲渡があったものとして譲渡所得の課税が行われる。
        • 譲渡した資産が居住用家屋である場合、「居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例」の適用がある。
          • 居住用財産を譲渡した場合には、配偶者、直系血族その他特別の関係のある者である場合を除き、「居住用財産を譲渡した場合の特別控除の特例」の適用があるが、離婚した後の元の妻は、特別の関係がある者には該当せず、特別控除の適用がある。
            (所得税法第36条第1項、第2項、同基本通達33-1の4、租税特別措置法関係通達31の3-20)
    • 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

譲渡所得の計算、課税の特例
  • 土地や建物の譲渡による所得

    • 不動産(土地や建物)の譲渡による所得は、他の所得(ex:給与所得など)と合計しないで分離して課税する「分離課税制度」が採用されている。

      • 他の所得と分離して所得税と住民税が課税される。
      • 譲渡益に対する税率は、対象となる不動産の用途や所有期間により異なる。
        譲渡所得がマイナスの場合、課税されることはない。

        • 譲渡した年の1月1日現在に、所有期間が5年以下か?、5年を超えるか? 所得の判定
          5年を超える土地・建物等 長期譲渡所得
          5年以下の土地・建物等 短期譲渡所得

    • 所得税の計算
      摘 要  不動産の所有期間
      短期 長期
      短期譲渡所得 長期譲渡所得 10年超
      居住用  税率 課税短期譲渡所得金額×30%(別に住民税9%) 課税長期譲渡所得金額×15%(別に住民税5%)
      利用可の特例   
      •  3,000万円特別控除
      • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算
        及び繰越控除
      • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
       
      非居住用 税率 課税短期譲渡所得金額×30%(別に住民税9%) 課税長期譲渡所得金額×15%(別に住民税5%)
      () 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付する。

      • 土地建物等に係る譲渡所得の計算

        • 譲渡所得 = 譲渡収入金額−(※取得費譲渡費用
        • 建物の取得費は、減価償却相当額を差し引く

          取得代金と取得諸費用の合計額を取得費としますが、建物は売却時までの経年劣化で価値が失われているため、「減価償却費相当額」を差し引かなくてはなりません 。
          居住用住宅(非事業用資産)の減価償却費相当額は、次の計算式で求めます。

          取得費×0.9×耐用年数の1.5倍に対応する償却率×経過年数

          耐用年数とは、法律で定められた建物が利用に耐えると仮定された年数で、建物の構造によって異なります。
          償却率とは、建物を1年利用したときに価値が減少する割合で、経過年数を掛けることにより、経過年数に応じた減価償却率を求めることができます。

          耐用年数を1.5倍した値と、対応する償却率は次の通りです。

          建物の構造 耐用年数の1.5倍 償却率
          木造 33年 0.031
          木骨モルタル造 30年 0.034
          金属造(厚み3mm以下) 28年 0.036
          金属造(厚み3mm超4mm以下) 40年 0.025
          金属造(厚み4mm超) 51年 0.020
          れんが造・石造・ブロック造 57年 0.018
          SRC造・RC造 70年 0.015
          ※SRC造=鉄筋鉄骨コンクリート造、RC造=鉄筋コンクリート造

          取得費が分からないとき

          相続した土地や家の場合、登録免許税や不動産取得税は自分で負担しているので明確ですが、その他の費用については、当時の資料が見つからない場合もあるでしょう。
          問題になるのは、当時の資料がなくて取得費がきちんと計算できないケースです。

          • 取得費が分からないときは、譲渡収入の5%を取得費にできると決められています。
            また、取得費が売却代金の5%に満たない場合も、5%にすることができます。

          • 購入時の契約書等を紛失してしまい購入価額が不明な場合には、原則として概算取得費(「譲渡収入金額×5%」)によることになります。
            ただし、契約書・領収書等以外で実際の購入価額を証明できるものがある場合には、実額によって計算することができます。
            次のような証明書類をできるだけ用意して、購入時の状況説明と契約書類等の紛失理由を書いた「申述書」を確定申告書に添付します。税務署にその内容に信憑性があると認められるとその申告は認められます。

            • 通帳等の出金により購入価額として支払った金額が明らかに証明できる
            • 通帳等で住宅ローンの支払い状況がある
            • 住宅ローンを借りた金銭消費貸借契約書のコピー、ローンの償還表等がある
            • 全部事項証明書の乙欄で抵当権の設定金額の状況がわかる
            • 購入当時の不動産業者の、価格が記載されているパンフレット等がある


          また、このような書類の他、次のように当時の購入価額を推定する方法もあります。
          上記の書類の補完資料として、「申述書」に次の推定価格を記載すればさらに信憑性が増します。

          土地 財団法人日本不動産研究所が公表している「市街地価格指数」を基にして、売却価額に指数の割合を乗ずることにより購入当時の価額を推定する方法。
          建物 「建物の標準的な建築価額表」を基にして、購入当時の価額を推定する方法。

      • 土地建物等に係る譲渡所得の損益通算
      • 居住者が海外の不動産を売却した場合の課税関係等

        • 日本の居住者は、原則として国内で生じた所得及び国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税される。
          したがって、日本の居住者が海外の不動産を売却したことにより得た譲渡益に対しても、国内にある不動産を売却した場合と同様に、課税される。
    • 相続により取得した不動産の譲渡に係る税額計算

      • 贈与、相続(限定承認に係るものを除く)または遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)により、取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算上控除する取得費については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなされる(所得税法第60条)。
    • マイホームを売ったときの税金軽減の特例
    • 相続により取得した不動産の譲渡に係る税額計算

    • 譲渡益が出た場合 譲渡損が出た場合
      • マイホーム(所有者として居住)でなければ居住用特例は適用されない→相続時に相続人自身が居住していれば可。
      • 税軽減の内容
      • @.3,000万円特別控除 課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 3,000万円
        A.10年超所有軽減税率の特例
        課税長期譲渡所得金額(=A) 所得税 住民税
        6,000万円以下 A×10% (別途復興税) A×4%
        6,000万円超 (A−6,000万円)×15% (別途復興税) A×5%
      • 課税長期譲渡所得金額=(土地建物を売った収入金額)−(取得費+譲渡費用)−特別控除
      • 適用要件。

        譲渡益が出た場合
        要 件 @3,000万円特別控除の特例 A10年超所有軽減税率の特例 B特定居住用財産の買換え特例
        所有期問 制限なし 譲渡した年の1月1日で、家屋と土地の所有期間がともに10年超
        居住期間 制限なし 制限なし  通算10年以上
        連年適用の制限 3年に1度しか適用できない
        前年、前々年に@,B,C,Dの
        適用を受けていない
        前年、前々年に
        この特例の適用を受けていない
        前年、前々年に@,Aの適用を受けていない
        @,A,Bの重複適用 Aと併用可。Bとの重複適用は不可 @と併用可。Bとの重複適用は不可 不可
        住宅ローン控除との重複適用  不可 不可 不可
        特例適用条文 措法35条 措法31条の3 措法36条の2

        • 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

          • 対象となる居住用財産は、保有期間は問われないが、原則、個人がその居住の用に供している「家屋」、またはその家屋とともにその敷地の用に供している土地等である。居住用家屋が2以上ある場合には主たる住居だけに適用される。
            次のような場合には適用できない。

            1. 別荘等の一時的な利用を目的とする居住用財産の譲渡
            2. その年の前年、前々年にこの特例または買換えの特例を受けている場合(3年に1度適用)
            3. その譲渡した居住用財産について別途、固定資産の交換特例、立体買換特例、特定の事業用資産の特例等の規定の適用を受けている場合
              ※居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率の特例(低率分離課税)とは重複適用可能。
            4. 配偶者、直系血族、本人と生計を一にしている特別関係者、同族会社などに譲渡した場合
            5. 家屋部分を伴わない居住用の土地の一部だけの譲渡
          • なお、譲渡時に居住の用に供していなくても、次のような場合は適用できる。

            1. 居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する目の属する年の12月31日までに譲渡した場合(貸家で賃貸した場合も同様)
            2. その土地の譲渡に関する契約が、その家屋の取壊しから1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住の用に供さなくなった日以降3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合(その家屋を取り壊した後譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していないこと)
            3. 災害等により滅失した家屋の敷地で、その居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31口までに譲渡した場合

        譲渡損が出た場合
        C居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
        (マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

        • マイホーム(旧居宅)を平成31年12月31日までに売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡による損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができる。
        • さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができる。 
        D.特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例(住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき)

        • 平成31年12月31日までに、住宅ローンのある居住用不動産を譲渡し、譲渡損失が生じたときは、その譲渡が譲渡の年の1月1日における所有期間が5年超のマイホームで日本国内にあるもの等の一定の要件を満たす場合に限り、その損失の金額と住宅ローンのうち譲渡代金を超える金額のいずれか少ない金額をその年の給与所得等の他の所得と損益通算することができる(租税特別措置法第41条の5の2)。
        • 損益通算を行っても控除しきれなかった金額があるときは、譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰越控除することができる。
  • 総合課税の譲渡所得の計算

    • 総合課税の譲渡所得の金額は、基本的には次の計算式により算定する。

      「総合課税の譲渡所得の金額」= 「譲渡価額」−「取得費(注1)」+「譲渡費用(注2)」−「生活に通常必要でない資産の災害等による損失の金額」−「譲渡所得の特別控除額(50万円(注3))」

      • (注)
        1. 取得費とは、一般に購入代金のこと。購入手数料や設備費、改良費なども含まれる。
          減価償却資産は、減価償却額を控除した金額となる。
        2. 譲渡費用は、売るために直接かかった費用。
        3. 譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円。
          その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引く。譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額まで控除。
        4. 長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になる。
  • ストックオプションの計算

    • 適格ストック・オプション

      • 法人の取締役等に付与した新株予約権等(ストック・オプション)で租税特別措置法第29条の2に規定する要件を満たしているものを適格ストック・オプションという。
        • 付与されたストック・オプションが適格ストック・オプションに該当する場合、権利行使時に発生した権利行使益に給与所得課税はされない。
        • 実質的な効果としては、権利行使益に給与所得課税をしない代わりにこれを繰り延べ、株式が譲渡された段階で、譲渡所得として課税されることになる。
    • 非適格ストック・オプション

      • 適格ストック・オプションに該当しない場合を非適格ストック・オプションという。
        • 非適格ストック・オプションは、権利行使時に発生した権利行使益に給与所得課税がなされる。
        • 権利行使により取得した株式を売却したときの譲渡所得の金額の計算では、売却価額から控除する取得費については、権利行使価額に取得した株数を乗じて計算する。
        • 非適格ストック・オプションの場合には、権利行使により取得した株式を売却する際に、売却価額と権利行使時の株式の時価との差額が譲渡所得として課税される。
          • 原則的な課税関係(税制非適格ストック・オプション)
            ストック・オプション取得時 課税なし
            権利行使時 課税あり(給与所得課税等) 権利行使益=権利行使時の時価−権利行使価額
            株式譲渡時 課税あり(譲渡所得課税) 譲渡所得=譲渡価額−権利行使時の時価
退職所得
山林所得
  • 山林所得とは
    • 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいう。
      • 山林を取得してから5年以内に伐採又は譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になる。
      • 山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になる。
  • 山林所得の計算方法
    • 総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)=山林所得の金額
一時所得
  • 生命保険金

    • 満期保険金=一時所得
    • 解約返戻金=一時所得
      • ただし、「一時払い養老保険」について、「金融類似商品」の要件を満たす場合は、金融類似商品としてその差益(解約返戻金から払込保険料を控除した額)の20%(所得税15%・住民税5%)の源泉分離課税で課税関係が終了し、確定申告の必要はない。

  • 損害保険契約に基づく満期返戻金
    • 損害保険契約に基づく満期返戻金は、保険目的の対象物が事業用資産であっても事業所得ではなく一時所得に該当する(所得税基本通達34-1(4))
雑所得
  • 外貨預金の利子と為替差損益
  • 印税や原稿料の税金、確定申告
    • 多くの場合、出版社からあらかじめ印税や原稿料から源泉徴収分として10%が差し引かれて支払われる。
      • 1回の原稿料が100万円以下の場合は10%、100万円を超える部分は20%
      • 事業規模だと、「事業所得」になる。
    • 雑所得が合計20万円以下なら、給与生活者は確定申告不要。
    • 源泉徴収をされている分は、確定申告の必要はない。 
      • 確定申告した場合、納税した10%のうちいくらかが戻ってくる可能性もある。                          
法人
株主総会決議
  • 株主総会決議とは、株式会社において、株主総会がその意思決定として行う決議をいう。
    会社法に別段の定めがなければ、通常は普通決議の方法により行う(会社法第309条第1項)。また、定款に別段の定めがなければ、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、出席した株主の議決権の過半数により決議する(決議要件)。
    普通決議の定足数は、定款上別段の定めを設けることができ、定足数を緩和することができる。
    一方、株主総会の特別決議は、重要な意思決定に用いられる加重された要件による決議で、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を定足数、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となる(同法第309条第2項)。また、定款で要件を変更することができるが、定足数は3分の1未満にすることはできず、決議要件は3分の2以上の割合のみ定めることができる。

    • 普通決議

      • 会社法に別段の定めがなければ、通常は普通決議の方法により行う(会社法第309条第1項)。
        • 定款に別段の定めがなければ、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株生か出席し(定足数)、出席した株主の議決権の過半数により決議する(決議要件)。
        • 普通決議の定足数は、定款上別段の定めを設けることができ、定足数を緩和することができる。
      • 役員(取締役および監査役)を選任するには、(特別決議ではなく)普通決議が必要となる。
        • 役員の選任、解任は株主総会決議によりいつでもできる(同法第339条第1項)。定時株主総会でばなく臨時株主総会においても決議できる(同法第339条)。
        • 通常、議題の提案は役員が行うことから選任等の要件を引き下げる誘因が働くため、株主保護の観点から、普通決議の定足数に一定の下限を設けている。
          • 役員の選任、解任決議については、定款によっても、定足数を3分の1未満にすることはできず、議決要件は過半数を上回る割合のみ定めることができる(同法第341条)。
      • 取締役を解任するには、(特別決議ではなく)普通決議が必要となる。
        • 旧商法では、取締役の解任決議は、特別決議とされていたが(旧商法第257条第2項、第257条の3第3項)、有限会社と同様に普通決議とされた。
        • 原則、普通決議要件だが、監査役および累積投票で選任された取締役の解任は特別決議要件である(同法第309条第2項第7号)。
    • 特別決議

      • 株主総会の特別決議は、重要な意思決定に用いられる加重された要件による決議で、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要となる(同法第309条第2項)。
        • 定款で要件を変更することができるが、定足数は3分の1未満にするごとにできず、議決要件ば3分の2以上の割合のみ定めることができる。
      • 事業の全部の譲渡または事業の重要な一部の譲渡を行う場合には、当該行為がその効力を生ずる日の前日までに、株主総会の特別決議により、当該譲渡契約の承認が必要となる(同法第309条第2項第11号、第467条)。
        • 3分の1超の議決権割合を有している場合、株主総会の特別決議において否決権を持てることになり、例えばオーナー経営者の反対派が事業を譲渡することを阻止することが可能となる。
      • 監査役を解任するには、特別決議が必要となる(会社法第309条第2項第7号、第339条)。

    • 剰余金の配当に関する決議
      • 旧商法では、利益の配当は年2回に制限されていたが、会社法では回数制限がなくなり、いつでも配当を行うことができるようになった(同法第453条、第454条)。
      • 剰余金の配当に関する決議は、その都度株主総会で決議を行うことが原則である(同法第454条)。ただし、定款で別段の定めを設けることにより取締役会の決議で剰余金の配当を行うことができる(同法第454条第5項、第459条)。
役員と法人の取引
  • 役員から法人への譲渡
    • 役員が法人に対して資産を贈与または著しく低い価額(時価の2分の1未満の価額)で譲渡した場合は、譲渡時の時価をもって譲渡所得の収入金額とする(所得税法第59条、同法施行令第169条)。
    • 法人が資産を時価よりも低い価額で取得した場合の課税関係
      • 取得した資産の取得価額は、取得時の時価である(法人税法施行令第54条第1項第6号、同基本通達7-3-16の2)。
      • 取得時の時価と対価の差額は、受贈益として益金の額に算入する(同法第25条の2第3項)。
住宅関連税制
「住宅借入金特別控除」の活用

マイホームの取得や増改築などしたときの税制特例措置(所得税)
  • マイホームの取得や増改築などしたときの特例
     区分  ローン利用の場合(ローン型控除) ローン利用がなくても利用可能(特別控除)
    項目 住宅の新築・取得・増改築等 住宅の改修  新築取得等 住宅の改修
    一般住宅 認定住宅 バリアフリー改修 省エネ改修 3世代同居
    ※3
    認定住宅 バリアフリー改修 省エネ改修 耐震改修 3世代同居
    ※3
    資金の
    要件
    償還期間10年以上の
    住宅ローン
    償還期間5年以上の
    リフォームローン 
    自己資金または住宅ローン
    適用
    居住年
    平成31年6月30日まで
    控除額 最大控除額
    400万円
    最大控除額
    500万円
    最大控除額、62.5万円  控除限度額
    65万円
    控除限度額
    20万円
    控除限度額
    25万円
    (35万円※1)
    控除限度額
    25万円
    控除期間最長10年 控除期間最長5年  併用の場合:控除限度額70万円(80万円※1)
    特例の
    併用
    特別控除(耐震改修以外)
    との併用不可
    特別控除との選択適用  住宅ローン控除
    との併用不可
    住宅ローン控除との選択適用 住宅ローン控除
    との併用可※2
    選択適用
住宅の取得時、保有時の税金
住宅の譲渡に関する税制(所得税)
住宅資金の贈与に関する税制
  • 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
  • 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

    住宅取得等資金贈与の非課税特例の注意点
  • この特例の概要

    「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の特例(以下、「この特例」)は、

    • 2015年1月1日から2021年12月31日までの間に、
    • 直系尊属(父母や祖父母)からの贈与により、
    • 「受贈者」が、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築等の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」)を取得した場合で、
    • 一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税とされるものです。

    非課税限度額は、住宅用家屋の種類ごとに、「新築等の契約の締結日に応じて」、次表のとおり定められています。

    @ 住宅用家屋の新築等の対価に含まれる消費税の税率が10%の場合
    新築等の契約締結日 省エネ等住宅 左記以外
    2019.4.1 〜 2020.3.31 3,000万円 2,500万円
    2020.4.1 〜 2021.3.31 1,500万円 1,000万円
    2021.4.1 〜 2021.12.31 1,200万円 700万円
    A 上記以外の場合(個人間の中古住宅売買など)
    新築等の契約締結日 省エネ等住宅 左記以外
    〜 2015.12.31 1,500万円 1,000万円
    2019.4.1 〜 2020.3.31 1,200万円 700万円
    2020.4.1 〜 2021.3.31 1,000万円 500万円
    2021.4.1 〜 2021.12.31 800万円 300万円
  • この特例の適用に当たって留意すべき事項

    (1) 「贈与税の課税時期」と、「新築等の契約締結時期」の関係
    「贈与税の課税時期」は、財産を取得したとき(もらったとき)であり、贈与税の課税対象金額(課税価格)は、その年の1月1日から12月31日までに贈与により取得した財産の価額の合計です。
    従って、この特例の適用を検討する際、”贈与により住宅取得等資金を取得するとき(贈与を受けた年)がいつであるか”が問題になります。
    特例の適用の有無に関わらず、贈与を受けた年により、「贈与税の課税される年」か決まります。
    • この特例の非課税限度額は、「新築等の契約締結日」に応じて定められますが、「贈与税の課税される年」は「新築等の契約締結日」によって決まる訳ではありません。
    • この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書を、所轄税務署に提出する必要があります。
    (2) 受贈財産とその使途の関係
    贈与税は、贈与により財産を取得した者(受贈者)に課税され、原則として、贈与により取得した財産の使途は、贈与税の課税には影響を与えません。
    しかし、この特例により贈与税を非課税とするには、贈与により取得した住宅取得等資金の全額を、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築等の対価に充てる必要があります。
    • 贈与により取得した財産の使途が指定され、取得した金銭が受贈者の手元に残っていないことを前提に非課税となります。贈与により取得した金銭の全額が当該対価に充てられていない場合、その充てられていない金額については非課税となりません。
    • :贈与を受けた年の翌年3月15日までに対価に充てなければなりません。
      受贈者が「住宅用家屋」を所有する(共有持分も含む)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
    • 取得した金銭の使途が「住宅用の家屋の新築等」である(「住宅取得等資金」である)とは、新築する住宅の敷地となる土地等の取得(住宅新築に先行する土地等の取得を含む)を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅の取得又は増改築等とともにするその敷地用土地等の取得を含みます。
    (3) 売主が個人である中古住宅の取得と非課税限度額
    上表@Aのとおり 非課税限度額は、住宅の価格に含まれる消費税の税率が10%の場合とそれ以外の場合とでは異なります。
    2019年10月1日から消費税率が10%に引き上げられたため、それ以降の契約については、消費税率は10%であると単純に考えると(図表の@であると考えると)、非課税限度額の判定を誤る場合があるので注意しましょう。
    • 個人から中古住宅を購入する場合(売主が非事業者の場合)、その取引には消費税がかからず、代金には消費税が含まれないため、非課税限度額の判定は、図表のAに該当します。
      消費者は消費税の負担者ですが、納税義務者((税務署に消費税を申告納付する者)では無いので、個人である売主は中古住宅の代金に消費税を転嫁する事はできません。
    • 売主が不動産業者(事業者)である新築住宅や中古住宅を購入する場合、非課税限度額の判定は原則として、図表の@に該当します。
    (4) 住宅取得等資金と新築等の対価の額との関係
    (2)で記述のとおり、この特例は、住宅取得等資金の全額を、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築等の対価に充てることが要件とされています。
    次のような場合、受贈した金額の全部をこの特例の対象とすることができず、超える金額はこの特例の対象外(贈与税の課税対象)となります。
    • 自己資金と住宅ローンにより新築等をしたが、受贈した金額が自己資金を超える場合。
    • 新築した住宅を共有名義としたが、受贈した金額が自己の共有持分に対応する新築等の対価の額を超える場合。
    (5) 住宅借入金等特別控除を併用する場合
    この特例の適用を受け、さらに所得税の住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除)も併用することができます。
    この特例と住宅ローン控除の併用をする場合、住宅ローン控除はその受贈額に配慮しなくてはなりません。
    • ”贈与税を軽減した分は、所得税の優遇措置の対象外とする”考え方です。具体的には、住宅ローン控除(所得税の税額控除)の適用対象となるのは、次のいずれか低いほうの金額になります。
      1. 宅ローンの年末残高
      2. 「住宅等購入の対価額」−「住宅取得等資金贈与の非課税制度の適用を受けた援助額」
    ※ 下表例の場合、A=3,000万円、B=a.−b.=3,500万円−700万円=2,800万円となり、「住宅ローン控除の適用対象額」=2,800万円になります。
    土地の取得費             :1,000万円
    建物の取得費             :2,500万円
    計(「a.住宅等購入の対価額」)   :3,500万円
    「援助してもらった金額を住宅や土地の購入にあて、
    そのあと、住宅ローンで借りた金額を購入に使用した」と考えます。
    b.この特例の適用を受けた受贈金額:700万円
    住宅ローンの年末残高        :3,000万円

    (6) 期限内申告要件
    この特例の適用を受けるためには、非課税であっても、贈与税の期限内申告(贈与を受けた日の属する年の翌年2月1日〜3月15日までに申告)が必要です。
    税務署から指摘されて期限後申告をした場合、他の要件を満たしていたとしても、非課税とはならず暦年課税の基礎控除額(110万円)を超える部分が課税対象となります。
  • 住宅取得等資金贈与に係る相続時精算課税制度の特例
株式投資等の税制

株式投資等に対する課税方式
  • 個人が株式等を譲渡した場合の譲渡所得

    • 上場株式等の譲渡により生じた所得について確定申告を行う場合には、他の所得と分離して所得税の金額を計算する「分離課税制度」が適用されます。

      株式等の譲渡所得等の課税区分
    • 有価証券  株式等 ※1 上場株式等 特定口座で譲渡 源泉徴収選択口座  年間取引報告書  選択  申告不要※2
      申告分離課税
      • 所得税15%
      • 住民税5%
      → 
      簡易申告口座 年間取引報告書
      一般口座その他の一定の譲渡
      その他の譲渡
      ※1 非上場株式等
      土地等に類する株式等 分離短期譲渡所得と
      同様の申告分離課税
      • 所得税30%
      ゴルフ会員権に類する株式等 総合課税
      • 超過累進課税
      割引公社債で一定のもの
      ※1 公社債、公社債投資信託、公社債等運用投資信託、貸付信託の受益権など 2016年1月1日以後
      上場株式等に含まれる
    • ※1 平成28年1月1日から改定)
      • 「上場株式等の譲渡所得」と、「非上場株式等の譲渡所得」が別々の分離課税制度とされ、これらの所得間の内部通算は不可となりました。
      • 特定公社債等に該当する公社債等は、上場株式等と同じ税制が適用されます 。
    • ※2)申告不要の特例を選択することができる所得

      次の所得については、納税者の選択により確定申告をしないことが可能です。
      これらの所得については源泉徴収されているので、申告しないことを選択した場合には、結果として源泉分離課税と同じになります。
      • 配当所得で一定のもの

        • 少額配当等
        • 上場株式等の配当等(大口株主等でないもの)
      • 源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡所得等
        • 証券会社等に設定した源泉徴収選択口座内の上場株式等に係る譲渡所得等のこと。
          (確定申告を行わないことができる上場株式等に係る譲渡所得は、源泉徴収を選択した特定口座における譲渡所得のみ)
          源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡益に適用される源泉所得税率と、確定申告の際に上場株式等の譲渡益に適用される申告分離課税の税率は同率になっているため、大部分のケースは確定申告をする必要はなく、源泉徴収だけで課税関係は完結する。
          • その口座内以外の株式等に係る譲渡損がある場合や、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得との損益通算をする場合、上場抹式等の譲渡による繰越損失がある場合など、確定申告が必要。
          • 申告分離課税を選択した場合には、配当控除は適用されない

    • 損益通算可能な分離課税の対象範囲(上場株式等のグループと一般株式等のグループ)
    • 株式等の譲渡所得等の課税関係は複雑であり、証券会社等に特定口座を設定している人の上場株式等に係る譲渡損益や配当所得は、その証券会社等で計算し「特定口座年間取引報告書」を作成して、顧客に送付してくれるので、面倒な収支計算をしなくて済むメリットがあります。
  • 金融所得課税の一体化

    • 平成28年から金融・証券税制が変わりました。
      改正の背景には、少子高齢化により貯蓄率が低下傾向を示す一方で、家計金融資産に占める株式や株式投資信託の割合が低いという日本の現状があります。
      家計金融資産の効率的活用が国の経済活力維持を左右するという考えから、「貯蓄から投資へ」の構造改革を進め、一層の投資環境を整備することが政策的要請となっています。
      少子高齢化による貯蓄率の低下 家計金融資産の効率的活用が経済活力維持の鍵 「貯蓄から投資へ」の政策的要請
      家計金融資産に占める株式や株式投資信託の割合が低い
       そこで、税制において一般個人による投資の利便性を高めるため、金融商品間の課税の中立性、簡素でわかりやすい税制、損益通算範囲の拡大等による投資リスクの軽減などを通じた金融所得課税の一体化が図られました。
       金融所得課税の一体化の具体的内容は、
        公社債、公社債投信の譲渡益や外貨預金の為替差益などの課税方式の均衡化、
        および株式譲渡損益等と公社債譲渡損益等との損益通算の範囲の拡大
      です。
    • 特定公社債等と一般公社債等
      • 債券(公社債)は、「上場株式等のグループ」に属する「特定公社債」(国債、地方債、外国国債、外国地方債、上場公社債、公募公社債その他一定の公社債(H27年12月31日以前に発行された公社債))と、「一般株式等」のグループに属する「一般公社債(特定公社債以外の公社債)」に区分されます。
      • 特定公社債等 特定公社債
        • 国債、地方債、外国国債、外国地方債
        • 公募公社債、上場公社債、外国公募公社債、外国上場公社債
        • 平成27年12月31日以前に発行された公社債等(同族会社が発行した社債を除く)

        公募公社債投資信託の受益権
        証券投資信託以外の公募投資信託の受益権
        特定目的信託の社債的受益権で公募のもの
        一般公社債等 特定公社債以外の公社債
        私募公社債投資信託等の受益権
        公社債等証券投資信託以外の私募投資信託の受益権
        特定目的信託の社債的受益権で私募のもの
        • H27年12月31日以前に発行された公社債は、同族会社が発行した社債を除き特定公社債に該当する。
        • 外国債券および外国債券投資信託は、特定公社債等に分類」される。
    • 特定公社債の利子等

      • 特定公社債の利子等は、H27年12月31日以前に支払いを受ける債券の利子については、原則として、支払時における源泉徴収により課税関係が完了する源泉分離課税とされていましたが、平成28年1月から、原則は20%(所得税15%、地方税5%)の税率による申告分離課税の対象となりました。
        さらに、上場株式等の譲渡損失及び配当所得との損益通算が可能となりました。また、特定口座での取扱いも可能となりました。
      • H28年1月1日以後に支払いを受ける債券の利子については、金融所得課税の一体化により、以表のとおりとなっています。
        債券の利子 所得 課税方式 源泉徴収税率
        特定公社債の利子 特定公社債の利子所得 申告不要
        • 所得税および復興特別所得税、15.315%
        • 住民税、5%(配当割)
        申告分離課税
        一般公社債の利子(下記以外) 一般公社債の利子所得 源泉分離課税
        (確定申告不可)
        • 所得税および復興特別所得税、15.315%
        • 住民税、5%(利子割)
        同族会社が発行した社債の利子で、
        同族株主等が支払いを受けるもの
        利子所得 総合課税
        • 所得税および復興特別所得税、15.315%
        • 住民税、なし
        • 利子の支払いの際に所得税等が源泉徴収されます。
外国債券と外国債券投資信託
  • 外国債券とは

    債券のうち、「発行者」、「発行場所(発行市場)」、「発行通貨」のいずれかが外国であるものを外国債券といいます。外国債券の魅力の1つは国内債券に比べ金利が高い点ですが、その一方で、為替変動リスクに注意する必要があります。
     「払い込み、利払い、償還」について、通貨により分類した場合の主な種類は次表のようになります。

    払込み 利払 償還
    外貨建て外国債券 外貨 外貨 外貨
    円建て外国債券
    デュアルカレンシー債 外貨
    リバースデュアルカレンシー債 外貨
    • 「外貨建て外国債券」は、最も一般的な外国債券で、「払込み、利払、償還」のすべてが外貨で行われる債券のことをいいます。
      一方、「円建て外国債券」は、「払込み、利払、償還」のすべてが円で行われる債券のことをいいます。
    • 一般に、外貨建て外国債券は、払い込みのとき、円を外貨に両替するため為替変動リスクの影響を受けるますが、円建て外国債券と比較すると利回りが高く、反対に、円建て外国債券は、すべての取引が円で行われるため、為替変動リスクの影響を受けないが、外貨建て外国債券と比較すると利回りは低くなります。
    • 海外の発行体(国際機関や外国政府、民間企業)が日本国内市場において、外貨建てで発行する債券を「ショーグン債」と呼び、円建てで発行するものを「サムライ債」と呼びます。
      • 利金が円で償還金が外貨のデュアル債や、利金が外貨で償還金が円となるリバース・デュアル債のようなサムライ債もあります。
        • デュアルカレンシー償は、「払い込み、利払い」の通貨は円だが、償還は外貨となります。
          一方、リバースデュアルカレンシー債は、「払い込み、償還」の通貨は円だが、利払いは外貨となります。
        • あらかじめ定められた条件(期中における為替や金利等の水準)を満たした場合、円で償還されるタイプや、当初の償還目よりも前に円で償還されるタイプ(期限前償還粂項付)もあります。
          このように、「払い込み、利払い、償還」のいずれかに、異なる2種類の通貨が使われている債券を「二重通貨建て外国債券」といいます。
  • 外国債券投資信託とは

    外国債券投資信託とは、その名のとおり外国債券に投資する投資信託です。投資信託のため、外国債券を直接購入するのとは異なり、1つのファンドで多くの国々の債券に分散投資が可能となります。追加購入や中途換金・解約も可能な商品もあります。
  • 外国債券、外債ファンドに係る税金

    • 外国債券の平成28年1月1日以後の取り扱いは、基本的に、「20.315%の申告分離課税(復興特別所得税含む)に一本化」されました。
      • 特定公社債等の利子および源泉徴収ありの特定口座の償還差益・譲渡益は、申告不要とすることができます。
    • 外国債券投資信託の分配金は20.315%の源泉分離課税となり、申告分離課税、申告不要を選択できます。譲渡益、償還差益については、外国債券と同様に20.315%の申告分離課税となります。

      外国債券の課税関係
      平成27年12月31日までの取り扱い
      種類 利子 償還差益 譲渡益 外国利付債
      • 利子は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税、
        償還差益は雑所得、譲渡益は非課税。
      外国割引債
      • 償還差益は雑所得、譲渡益は総合課税の譲渡所得
      外国利付債 20.315%
      源泉分離課税
      雑所得 非課税
      外国割引債 雑所得 譲渡所得
      (総合課税)
      平成28年1月1日以後の取り扱い
      種類 利子 償還差益 譲渡益 特定公社債の利付債、割引債
      • 利子、償還差益、譲渡益すべて20.315%の申告分離課税の対象
      • 利付債の利子は、源泉徴収が行われたものについては申告不要を選択できる
        • 外国で源泉徴収された場合は、その税額を控除した金額に課税
        • 確定申告することで外国税額控除が適用される
      • 償還差益・譲渡益については、利付債、割引債ともに、為替差益も含めて譲渡所得の対象
      特定公社債
      (利付債)
       20.315%
      申告分離課税
       20.315%
      申告分離課税
      20.315%
      申告分離課税 
       特定公社債
      (割引債)
         20.315%
      申告分離課税
       20.315%
      申告分離課税

  • 配当所得の課税関係
贈与
「贈与」とは

贈与は、当事者の一方(贈与者)が自己の財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し、受贈者が受諾をすることによって、その効力を生ずる」(民法549)とされ、贈与者の意思表示に対し受贈者の受諾が前提となっています。

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