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6: 「役員」 Q
 役員の賞与
  • 役員の賞与は、株主総会で決定し支払い時に損金経理する。

    • 役付役員(社長〜常務)は100%役員
    • 兼務役員の給与中、”役員の給与相当額”=「兼務役員の給与」−(兼務役員と同格の非役員の給与中最も高額のもの)
  • 「賞与」支給時に支払うときは、届出が必要、この届出用紙への記入はかなりやっかい(個人別詳細記入)。

    • 毎月の給与に上乗せして支給する方式(定期同額給料)だと届出不要。
  • 株主総会で決定した額は原則として変更不可。1年間

    • 否認されるときは、差額では無く全額否認されるので注意
    • 増額は否認されるが、正当な理由に基づく減額は認められる(ex:業績悪化)

      • 役員の減俸
        • 取締役会議事録を作成する。
          • 理由を記載又は別添
          • 非賞与(月額報酬)の減額にすること(賞与の減額ではない)
          • カット率は一律又は上席者を多くする
          • 期間は少なくとも半年以上(本来は1年)
          • ”状況が好転すれば戻す”は可 
 社宅等貸与の取扱い

当社は、役員と従業員に社宅を貸与していますが、貸借料によっては、それぞれ給与所得として課税されることもあるのでしょうか?


社宅等の貸与を受けている者が、従業員であるか役員であるかによってその取り扱いが異なりますのでそれぞれについて説明いたします。


  • 1.従業員に対する社宅等の貸与について

    • 会社が、従業員に対して無償又は低額の賃借料で社宅や寮など(以下「社宅等」という)を貸与する場合、次の算式により計算した賃借料相当額と実際に従業員から徴収している賃借料の額との差額が給与所得として課税されることになります。
      ただし、従業員から徴収している賃借料の額が、次の算式による賃借料相当額の50%以上である場合には、その差額についてあえて給与所得として課税しなくても差し支えありません。

    • 【賃借料相当額の計算式】
    • 賃料相当額
      (月額)
       =  その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%
      12円×その家屋の{床面積(u)/33u
      その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

      • 注1.会社が他から借受けた住宅等を、社宅等として従業員に貸与する場合の賃借料相当額も、この算式によって計算することになります。
      • 注2.固定資産税の課税標準額が改定された場合であっても、従前の課税標準額に比して20%以内の増減にとどまるときは、強いて賃借料相当額の改定を要しないこととされています。

  • 2.役員に対する社宅等の貸与について

    • 会社が役員に対して無償又は低額の賃借料で社宅等を貸与する場合、原則として、それぞれの賃借料相当額と実際に役員から徴収している賃借料の額との差額が給与所得として課税されることになります。

      以下の@〜Cのケースごとにその取り扱いを説明いたします。
    • @会社所有の社宅等を貸与している場合
      • 次の算式により計算した賃借料相当額との差額が給与所得として課税されることになります。

      • 【賃借料相当額の計算式】
      • 賃料相当額
        (月額)
         =  その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(注1)
        その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
        ×
        1/12
        • 注1.会社が他から借受けた住宅等を、社宅等として従業員に貸与する場合の賃借料相当額も、この算式によって計算することになります。
          • 木造家屋以外の家屋については、10%となります。
          • 「木造家屋以外の家屋」とは、その家屋の耐用年数が30年を超える住宅用の建物をいいます。
        • 固定資産税の課税標準額が改定された場合には、改定後の固定資産税の第1期納期限の翌月分の賃借料から改訂後の課税標準額により計算します。
    • A会社が他から借受けた住宅等を貸与している場合
      • まず、会社が実際に支払う賃借料の額の50%相当額と、上記@の算式により計算した金額との比較を行います。
      • そして、このいずれか多い金額が、その社宅等の賃借料相当額とされます。したがって、この賃借料相当額との差額が給与所得として課税されることになります。
    • B貸与している社宅等が小規模住宅である場合
      • 役員に貸与している社宅等が、小規模住宅である場合には、上記1(従業員貸与の場合)の算式によって計算した賃借料相当額との差額が給与所得として課税されることになります。
        なお、「小規模住宅」とは、その家屋の床面積が132u(木造家屋以外の家屋については99u)以下である場合をいいます。
    • C貸与している社宅等がいわゆる豪華な社宅である場合
      • 役員に貸与している社宅等がいわゆる豪華な社宅である場合の賃借料相当額は、その社宅等が一般の賃貸住宅である場合に授受されると認められる賃借料の額とされています。
      • したがって、この賃借料相当額との差額が給与所得として課税されることになります。
        なお、その社宅等が「いわゆる豪華な社宅」に該当するかどうかは、その家屋の床面積(業務に関する使用部分等がある場合、その部分を除く)が240uを超えるもののうち、その社宅等の取得価額、支払い賃借料の額、内外装その他の設備の状況等を総合勘案して判定します。
        なお、床面積が240u以下の社宅等であっても、以下のイまたはロに該当する場合などは、「いわゆる豪華な社宅」に該当します。
        • イ.一般の住宅等に設備されていないプール等の設備等があるもの
        • ロ.役員個人の嗜好等を著しく反映した設備等を有するもの
上記@〜C以外に、業務に関する使用部分等がある社宅等の場合や単身赴任者のような人が一部を使用しているに過ぎない住宅等の場合、さらに敷地だけを貸与している場合など、特別な取り扱いとなるケースもありますので、関与税理士や最寄りの税務署にお問い合わせ下さい。
 ある日突然、同族法人の社長が解任される?
  • ある同族会社の株主構成が下記のようになっていたとします。

    • 社長(父) …60%
    • 専務(長男) …40%
    • 平取締役(次男、三男) …0%
  • そして、父である社長の相続が発生したとします。相続人は長男、次男、三男の3人です。
  • 弟2人は仲が良かったのですが、長男と弟2人は日頃の経営方針も合わず、ギクシャクしていました。
    そこで、父の相続を機に兄を解任し、次男が社長、三男が専務という立場についてしまいました。

    なぜ、こんなことが可能なのでしょうか?
  • それは父の相続財産である株式60%につき、

    • @長男、次男、三男の過半数で議決権を行使する人を会社に届け出ることが可能、
    • A次男と三男が結託すれば2/3(過半数)となる、
    • B弟2人の意思で議決権を行使する人を次男にすることができる、 となるからです。
    • 結果として、次男が議決権を行使する人になれば、次男は60%の議決権を行使することができ、長男を解任できるのです。

     「そんなことが可能なのか???」と思われるかもしれませんが、下記の判決もあるのです。

    • ○東京高裁(昭和48年9月17日)
      • 株式が共有の場合、複数の株式であっても分けられる財産とはならない。
    • ○最高裁(平成9年1月28日)
      • 株式が共有の場合、議決権を行使する人は過半数で決めることができる。

    • なお、ご参考までに、
    • 会社法106条には「株式を2人以上で共有しているときは、共有者は議決権を行使する1人を決め、会社に通知しなければ、議決権を行使することができない」とあります。

    結果として、株式が遺産分割の対象になれば、その株式の議決権は他の相続人の協力がなければ、本来の後継者にこでは長男)の意に沿った経営はできないのです。

    だから、あなたがこの事例でいう社長(父)という立場であり、同じようなことが懸念されるならば、生前に対策しておく必要があるのです。そうしないと、空の上から涙を流しながら、お家騒動を見ることになります。「こんなはずではなかった」と・‥。

    相続は「争続」とも言われるように、多くの場面で争われるものです。もちろん、実際に争うかどうかは分かりません。また、争わないまでも、微妙な感情のしこりを残すこともあります。そういうことにならないよう、生前に対策をしておくことが株式を後継者に残す者の責任なのです。

    どういう方法で事業承継対策をしていくかはケースバイケースだけに、1口では言い切れません。
    それだけに、間違った道を進まれている方が多いことも事実です。税理士のミスリードにより株主が分散してしまっているケースも多々見られます。兄弟であっても株主を分散させてはいけないのです。

    あなたの会社にとって最もベストな方法は何でしょうか? これは多種多様なだけに、事業承継に詳しい税理士に相談することが必要なのです。
 役員も傷病手当金を受けられる?
  • 当社の取締役が病気で長期療養することになりました。この場合でも無給であれば健康保険の傷病手当金をもらう事はできるのでしょうか?
  • 給与は、月75万円の役員報酬のみです。?  
 代表取締役が会長や監査役等になった場合の役員退職金

代表取締役が会長や監査役等になった場合の役員退職金が問題になるケースは多いですが、まずは例として挙げる事例(東京地裁、平成20年6月27日)の前提条件です。
ここで特に取り上げたい要素は「株主」という部分です。なぜなら、同族会社の場合は「役員=親族=株主」であることも多く、役員を退任したからといっても、会社の経営には影響を与え得るからです。

 (今回の事例の前提条件)
  • 役員全員、株主全員が同居する家族のみという同族会社
  • 問題になった事業年度は平成15年8月1日〜16年7月31日
  • 代表取締役A(筆頭株主、持株割合35%)が監査役に就任し、役員退職金を支払った
  • Aは約15年間、この会社の代表取締役を務めた
  • Aは現代表取締役の父
  • Aは以前から体力や視力が低下しており、胆石症の持病を抱えていた
  • 平成10年ころから胆石症による激痛が生じるようになった
  • 16年5月頃からは、激痛に加え、黄だんの症状も発生した
  • 入院治療、外来診療を頻繁に受けるようになり、胆のうの摘出手術を受けた
  • C型慢性肝炎、腹部大動脈瘤も判明し、定期的な通院および検査が必要な状態にある
  • 手術などをきっかけとして、代表取締役を退任し、監査役に就任
  • 主要な業務は現代表取締役であるAの息子が中心となって行っている
この前提の中、税務署は下記と主張し、「実質的な退職の事実がない」ということで、役員退職金そのものを認めませんでした。
  • Aは取締役を退任後も監査役であり、筆頭株主である
  • 約15年間にわたり、この会社の代表取締役を務めていた
  • Aは現在の代表取締役の父である
  • これらのことから、長年の経験を活かし、また、その所有する株式を通じて、この会社の経営に影響を与え得る
  • Aは引き続き、この会社の経営における主要な地位にある
  • この会社を実質的に退職したのと同様の状況ではない
なお、長崎地裁(平成21年3月10日)は非常勤取締役(代表取締役の妻)が監査役に就任した事例ですが、これも税務調査で役員退職金が問題視され、この非常勤取締役が株主(持株割合12%)であることも問題視され、否認の根拠とされました。このように、同族会社において、役員退職金を支払った場合、その役員が一定割合以上の株主であることが問題視されることはあるのです。

では、このような場合、裁判所はどのように判断するのか?また、どのような点に注意すべきなのか?
税務調査で否認され、東京地裁での判断に至った訳ですが、裁判所は税務署側の主張を認めず、下記と判断したのでした。
  • 役員全員が同居する家族のみで構成される小規模な同族会社は、監査役の業務が重要視されておらず、現実には仕事をすることが困難な者を監査役にすることはある
  • Aが監査役に就任したからといって、重要な地位にあり、権限が残っているとは言えない
  • Aは役員としてはおろか、従業員としても一切の業務を行っていない
  • Aが筆頭株主として、会社に何らかの影響を与え得るとしても、それは、あくまで株主という立場から議決権等を通じ、間接的に与え得るにすぎず、役員の立場に基づくものではない
  • Aが筆頭株主だったとしても、それはAの退職とは関係ない
  • Aが約15年間にわたりこの会社の代表取締役を務めており、現在の代表取締役の父であるとしても、Aが会社の経営に影響を与え得る可能性を抽象的に示しているだけ
  • 実際にAが会社の経営に関与していることは全く見受けられない
  • Aは役員としての地位、職務の内容が激変し、実質的に退職したのと同様の状況
ということで、「退職の事実」につき、納税者の主張が認められたのです。なお、記載しませんでしたが、納税者サイドに様々な書類上の不備があったことも事実です。
しかし、ここまでの状況であっても、「退職の事実」について争われ、東京地裁に至って初めて認められたことも事実です。
東京地裁まで至ったということは、税務調査で否認された、税務署長に対する異議申立も認められなかった、国税不服審判所でも認められなかった、ということです。

そして、この過程の中で問題となったことは「元代表取締役が一定割合以上の株式を所有していたこと」なのです。
この論点は別の裁判でも問題視されたことがありますが、同様に「株主であること」と「役員の退職」とは関係ないとされています。

これらのことを踏まえると、代表取締役が非常勤取締役、監査役、従業員などになる場合の役員退職金には本当に慎重な判断、運用が求められるのです。

ちなみに、税理士しか登録できないデータベースがあるのですが、ここで検索すると、常勤取締役が非常勤取締役、監査役などになった場合の役員退職金で争った事例が37件出てきます。このうち、19件は納税者の主張が「全面的に」認められています。ここから言えることは、全面的に認められるような状況であっても、最低、国税不服審判所までは争っている事例が沢山あるという事実です。

役員退職金は金額も大きくなることが多いので、ここを否認されると非常に怖い部分となります。そのため税務調査を想定し、書類、事実関係の整理をしておく必要があるのです。

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