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安倍内閣の目玉である”アベノミクス”政策、いまや国内だけでなく世界の注目を浴びながら快走中!

 昨年末に阿部内閣が誕生したとき、誰がこれほどまでの円安(米ドル円、80円→100円と日本株高(日経平均、9千円台→14千円台)、)を予想しただろうか。
 ”アベノミクス「三本の矢」”のうち、@公共事業と、A日銀総裁を交代させてまでの大胆な金融緩和を進めた結果(…というか、構想アナウンスのインパクトで)、今のところリフレ派(穏やかなインフレを継続させることで、経済の安定成長ができるという主張)の言い分とおりの展開を辿っている。
自動車業界などの輸出関連企業の好決算、上方修正発表が続き、外国からの投資資金流入に加え国内投資家の算入と相まって証券市場は昨年までの閑古鳥がうそのような活況を呈している。田舎にいるとそれほど感じないが、都市部では証券会社の投資セミナーの盛況が続いていると聞く。
日銀が4月15日に発表した「さくらレポート(地域経済報告)」によれば、”全国9地域のすべてで景気判断が上向きに転じている”そうで、”アベノミクスによって景気が良くなる(かも知れない)”期待がじわじわと平均的日本人まで達し、投資・消費者心理がやや明るく強気に転じ始めていると感ずる。

  ”病は気から、景気も気から”というところか。?

 ところで、我々”団塊リタイヤ組”の視点から”アベノミクス”を眺めるとどうなるか?
 実は、年金収入に頼る者に限定して言えば、”デフレや円高は大歓迎(反アベノミクス)”なのだ。 ”
深刻な不況の最大要因はデフレだから、不況脱却のためにデフレ脱却を目指す→インフレターゲットの導入”という理屈を聞いて、→”景気がよくなりゃわしの年金受給額も上がって、孫にもっと豪華なおもちゃを買ってやれるぞ〜♪、海外旅行も増やせるわん♪♪”と前向きに捉える方はしあわせだ。

 ”幸せは気から”の側面も確かにあるので悪いことではないのだが…。

”アベノミクス”、勝負はこれからが本番だ。

 ”デフレ脱却で経済回復”を目指すアベノミクス、最大の難関は第三の矢”民間投資を喚起する成長戦略”が功を奏するかだ。
成長戦略は、”産業競争力会議で7つのテーマ別会合を開き6月に具体案をまとめる”というのだから、”これから始まる本番を待ってる”状態なので、株高で浮かれるのは早すぎる。

経済音痴の身(因みに方向音痴は更にひどい)であつかましいとは承知しているが、今後のシナリオを3パターンほど考えてみた。

  1.  狙い通り穏やかなインフレが定着する。

     為替も円安方向のまま安定し、輸出企業には国際競争力がつく。輸入商品の国内価格値上がりにより国内製造業者には国内市場での競争力がつく。それは、企業の利益拡大・国産品の消費拡大から雇用拡大、所得増加に繋がり、雇用・所得の拡大は更に消費、投資の増加に繋がるという良い連鎖が始まる。
     働いて家庭や国の財政基盤を支えている現役世代の意識、姿勢が良い方に向かい、全体の生産性が向上する。
    そして、消費税増税を乗り越えて、「年金支給額物価スライド方式」もそのまま維持されるので「年金生活者」も今の収支バランスが維持できる。

    「年金生活者」が現状を維持できるのはこのパターンしかない。是非こうなって欲しいものだと心から願う。

  2.  狙い通りインフレが進む一方で、生産性は上がらず、賃金も上昇しない。

     貿易収支は赤字が拡大気味に続く。財政赤字も改善しない。→”双子の赤字の拡大”
    経済全体のパイは若干大きくなるが、一部の体力や戦略の優れた企業や社員の増収が逆のポジションの企業、社員の減収を賄う構図となり、分配率が変わる → 少数の”持てる者”と、多くの”持てない者”の差が拡大し、全体の生産性は伸びず税収も伸びない。
     増加するリタイア組を支える財政が不足し、現在の年金水準維持が困難になる。

    →現役世代の所得は伸びないまま、インフレが進んで収支バランスが悪くなる。
    「年金生活者」は、減収+物価高のダブルパンチに見舞われ生活を切り詰めざるを得ない。

  3.  2のパターンのまま、消費税増税が実施され景気が減速する。

    1. 税収が減り、現在の社会・福祉の枠組みを維持するため更に赤字国債を増発する。
    2. 国債発行残額が国民の金融資産保有額(1400兆円?)に迫り、新規発行の国債を実質日銀が引き受ける事になる。円の国際的な信認度が下がる。
    3. 国債価格の大幅額面割れが発生する。為替は円が大きく下がる。
    4. 食料、生活必需品の価格が上昇する。
    5. 不況下のインフレ(スタグフレーション)が発生する。それは、大幅な円安により日本製品の国際競争力が復活するまで続く。

    →現役世代の生活は苦しい。大幅な円安により日本の国際競争力が復活し経済が回復するまで耐えるしかない。
    「年金生活者」は、年金、福祉について、枠組みまで踏み込んだ変更を受け入れざるを得ない状態になる。

 円安が進み株や投信が上昇して、なんとなく気持ちも明るくなり、国民の”アベノミクス”に対する評価は概ね好意的に見える。

 不思議なのは、「年金生活組から見たアベノミクス」、もっと煎じると、「物価が上がっても年金生活組は困らないのか?」について真面目に議論されず、あまり話題にならないように見えることだ。
私のような経済音痴でも感ずる上記のような「アベノミクスの悪いシナリオ」、特に年金生活者への影響について心配する必要はないのだろうか?
 「企業の生産活動や国民の生活に必要なもの」の多くを輸入に頼っている日本にとって、”円安=皆がハッピー”とはいかない。円安も円高も”夫々のおかれている立場で、夫々にいいこと/いやなことがある”のが当たり前だ。まして、”インフレターゲット2%”と聞いても好意的な反応を示す高齢者の方がいるのは驚きだ。
繰り返すが、「年金収入に頼る者にとって、デフレや円高は大歓迎」なのだ。”老人の身勝手”のそしりの議論は別の問題だ。

 もしかしたら、多くの高齢者の方は株や投信をたくさんお持ちで”現在ウハウハ中”なのかしらん??
最近の円安で潤っているのは輸出関連の大企業だし、株高で資産がどんどん増えてるのは株や投信をたくさん持ってるお金持ちの方だ。

 デフレで景気が悪いことについて、数年前に、私よりやや上の年齢と思われる方のインタビュー記事に違和感を持ち、今でも記憶に残っている。

 中小企業で真面目に働いて家族を支え、税金や社会保険料をきちんと収めている若者が聞いたら、空しくなる意見だと思う。月額37万円の収入というと、年収444万円だ。この収入に満たない現役は沢山いるし、更に、子供の養育費や住宅ローンを払って立派に暮らしている方も知っている。
我が家の大蔵大臣に、「我が家の暮らしの決算報告書」を見せて貰っても、”住宅ローンや養育・教育費負担の無い身で月額37万円の必要経費”はべらぼうだと感ずる。因みに、我が家がこの予算を消化し続けたら10年ももたない。
 ”体がいうことを聞かなくなったとき、医療・介護費が必要じゃあないか”ということなら、とても月額37万円では済まなくて福祉のお世話になるしかない。

 ”夫婦の年金が年300万円では孫におもちゃも買ってやれない”ともっともらしく語られる一方で、「年金生活組から見たアベノミクス」が多く語られることがないのは一体どういうことだろうか?

 我々は、不安を煽るのが商売の者のご都合で発信される偏った情報に踊らされて、過剰な、又は偏った悲観/楽観、身勝手な考えに陥り、それが”高齢者の意見”として誘導/形成されていることはないのだろうか?
ここはひとつ雑音に惑わされず、「年金生活組から見たアベノミクス」について、団塊仲間の問題として意見を出し合い情報を共有したどうだろうかと考え提案いたします。

 では、先頭バッターとして私からの疑問です。どなたか答えて下さる方、よろしくお願いいたします。

 →「意図的なインフレターゲットの導入」のもう一つの狙いは、”景気が良くならなくても、政府の財政基盤の維持には役立つ→「マクロ経済スライド」実施の契機とする”ということではないのか?

”インフレと年金問題”勘ぐりのシナリオ

  1. 年金受給額は「物価スライド方式」で計算される(物価変動に応じて上下)
  2. 1999年〜3年間、物価が下落したが、「物価スライド方式」を適用しないで受給額据置き(特例水準…後述)
  3. 意図的なインフレターゲットの導入 (現在)
  4. H13/10月(支給は12月)、H14/4月(支給は6月)、H15/4月(支給は6月)の3段階に分けて「特例水準」を解消する(過去に2.5%減額すべきだった年金を今後3段階に分けて減額する)
  5. デフレから脱却したら(景気の良し悪しに関係なく経済がインフレ方向に振れたら)、「マクロ経済スライド(年金財政の均衡が保てないとき年金額を調整する方式)」を開始する。

「特例水準」資料(日本年金機構のページ:http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3902)